住友商事株式会社はこのほど、タイの化学メーカーGlobal Green Chemicals(GGC)とグリーンケミカル(※)分野での協業に関する覚書を締結した。住友商事株式会社が環境対応事業の創出を目的として2021年5月に設立した「グリーンケミカル開発室」が、GGCとの協業推進を主導する。
両社は、タイを中心に東南アジア・オセアニア地域で、サトウキビなどのバイオマスを原料としたバイオエタノールをはじめとするグリーンケミカルの利活用を推進していくとともに、第二世代バイオエタノール(非可食部を原料として製造されるバイオエタノール)の製造を検討していく。
GGCは、塗料・界面活性剤・医療補助剤などの製造に用いられるさまざまな脂肪酸含有化合物であるオレオケミカルの製造事業を展開している。2021年に「ナコンサワン・バイオコンプレックスプロジェクト」を開始し、稼働済みの第1期工場において1日あたり2万4000トンのサトウキビを粉砕処理し、60万リットルのバイオエタノールを製造することを予定している。住友商事株式会社はGGCとの覚書において、同プロジェクトで製造されるバイオエタノールの取引やそのほかのグリーンケミカル製品の製造事業も検討していく。
今回の覚書締結に至った背景は、化学品業界においてバイオマス由来のグリーンケミカルの採用が加速していることだ。なかでもバイオエタノールは、自動車や飛行機の燃料やバイオプラスチック原料としても利用できるため、今後需要の伸びが期待されているとしている。住友商事株式会社は、バイオエタノールの現状について以下の見解を示した。
世界で現在生産されているバイオエタノールの99%以上は、サトウキビやトウモロコシなどの可食部を原料として製造されている。すでに製造方法が確立されており安定供給が見込める一方で、食料需要との競合となるほか、その価格が原料となる穀物の価格に左右されるという問題が指摘されている。
これに対し、サトウキビやトウモロコシなどの茎や葉をはじめとする非可食部を原料とする第二世代バイオエタノールは、食料需要との競合はなく、廃棄される残さから製造されるため、将来的なバイオエタノール増産を実現できるとして普及が期待されている。しかしながら、第二世代バイオエタノールの商業生産は世界的にもごく一部であり、原料確保やコストの面での課題がある。
住友商事株式会社とGGCは、この課題を克服して将来的な第二世代バイオエタノールの商業生産も検討していく意向だ。今回の両社の協業が、バイオエタノールをはじめとするグリーンケミカルの製造促進に貢献していくことが期待される。
※ グリーンケミカル:再生可能な資源を原料とする環境負荷の低い化学品。化石燃料が原料の化学品の代替として今後需要が見込まれる
【プレスリリース】循環経済の確立に向けたGlobal Green Chemicalsとの覚書締結に関して
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*冒頭の画像は、ナコンサワン・バイオコンプレックス(出典:住友商事株式会社)