フランス・ティメルマンス欧州委員会上級副委員長は、開催中の第5回「Circular Economy Stakeholder Conference」(3月1日・2日開催)で基調講演を行った。
同氏は講演の冒頭、ロシアによるウクライナ侵攻を非難したうえで、今回の危機はEUが注力するグリーン移行を新たなレベルで加速させるものになると指摘。グリーン移行のさらなる加速は、他地域へのエネルギー・資源依存度を下げ、集団安全保障強化・地政学的リスク対応につながるとした。
そのうえで、同会議の前日に発表があったIPCC報告書にも触れ、気候変動対策と生物多様性の回復には、全温室効果ガス排出量の約半分を占める資源採掘と加工工程に対処するサーキュラーエコノミーが必要不可欠だと訴えた。
続けて、近日中に公表が待たれる「持続可能な製品イニシアチブ」や「EU繊維戦略」「容器廃棄物指令の改定」「消費者のエンパワメント」などのサーキュラーエコノミーアクションプランに基づく一連の政策の重要性と位置付けに改めて言及。サーキュラーエコノミーを欧州グリーンディールの中核として推し進めていくことが確認された。
同氏が強調したように、ウクライナ侵攻は、従来から指摘されてきたサーキュラーエコノミーの地政学的リスク緩和側面が再認識されることとなった。さらに、同講演で「待ったなしの状況」「人類共通の未来に向けた行動が必要」であると言及されたように、共通の課題に向けたアクションを具体的な形で加速させる必要性が改めて示された。
Circular Economy Hub Editorial Team
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