世界的な潤滑油メーカーであるペトロナス・ルブリカンツ(PETRONAS Lubricants International)のブラジル法人と、農業・建設機械大手のCNHは7月23日、使用済み潤滑油を再精製して製造する新たな潤滑油製品ライン「FLEETPRO Cycle」を発表した。ブラジル国内の広範なディーラーネットワークを活用して使用済み油を回収し、バージン材と同等以上の品質を持つ製品へと再生させる、本格的なサーキュラーエコノミーの実現を目指す。
潤滑油は従来、一度使用されると焼却処分されることが多く、資源の再利用が難しい分野だった。今回の取り組みは、高度な再精製技術と、製品が消費者の手からメーカー側へ還流する「リバースロジスティクス」を組み合わせることで、この課題を克服する先進的なモデルとなる。
この循環型サプライチェーンの鍵を握るのは、再精製分野のリーディングカンパニーである環境ソリューション企業のLwart(ルワート)社との提携だ。まず、ブラジル全土に500以上あるCNHのディーラーが、農業機械や建設機械から排出された使用済み潤滑油を回収する。回収された油はLwart社に送られ、最先端技術によって不純物が徹底的に除去される。
このプロセスを経て、潤滑油の品質を決定づけるベースオイルの中でも特に高品質な「GII基油」が生産される。再精製油からバージン材と同等かそれ以上の品質を持つGII基油を安定的に製造することは、高度な技術力を要する。この高品質な基油を用いて、ペトロナスが最終製品である「FLEETPRO Cycle」を製造し、再びCNHの機械に供給する仕組みだ。
CNHでラテンアメリカ地域の部品事業を統括するフェルナンド・ガヤ氏は、次のように述べている。「この新製品ラインは、品質やコスト効率の追求と、革新性や持続可能性の実現を両立させるという、当社の戦略を具体化したものです。お客様に優れた製品をお届けするだけでなく、サプライチェーン全体に好影響をもたらし、あらゆる段階で高い性能と安全性を確保します」
ペトロナスは、潤滑油容器のリサイクルプログラム「Play Fair Institute」にも創設メンバーとして参画するなど、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減を進めている。ブラジル国内の4,000以上の自治体で展開されているこのプログラムは、2023年に5,900トン以上のプラスチック材料を環境に配慮した方法で処理し、その95%がリサイクルされた。
同社のエドゥアルド・デ・シロス・サントス氏は、「持続可能性の目標を達成するには、CNHやLwart社のような強力なパートナーとの協働が不可欠です。私たちは、イノベーションと協働を通じて社会に貢献し、持続可能な未来づくりに貢献していきます」と述べた。
【プレスリリース】PETRONAS and CNH Launch New Line of Lubricants With a Focus on the Circular Economy
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