キユーピー株式会社と味の素株式会社は6月20日、共同で実施している使用済みマヨネーズボトルの回収実証実験に関する進捗を報告した。2024年7月から開始した実験では良好な結果が得られたとし、2025年7月からは回収拠点を現在の1店舗から神奈川県川崎市内の3店舗に拡大する。この取り組みは、海洋プラスチックごみ問題の解決を目指す官民連携組織「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」の活動の一環だ。

本実証実験は、株式会社イトーヨーカ堂の協力のもと、2024年7月1日からイトーヨーカドー溝ノ口店(神奈川県川崎市)で開始された。店舗のリサイクルステーションにマヨネーズボトルを模したユニークなデザインの回収ボックスを設置し、消費者が使用したマヨネーズボトルの店頭回収を実施。回収されたボトルの状態や量の分析を進めてきた。油分が付着しがちなポリエチレン(PE)製のマヨネーズボトルは、家庭での洗浄・分別が敬遠され、自治体回収だけでは質の高いリサイクルが難しい容器の一つとされている。製造事業者が小売事業者と連携して特定の製品廃棄物を回収する本取り組みは、拡大生産者責任(EPR)の考え方にも通じるものだ。

約10ヶ月間の実験の結果、回収品のうち約90%が対象品であるマヨネーズボトルだった。残りの大半も、タルタルソースやケチャップのボトルなど、同じポリエチレン(PE)製で占められた。また、回収されたマヨネーズボトルの99%以上がきれいに洗浄されており、質の高い資源として回収できる可能性が示された。1ヶ月あたりの回収本数も、開始初月の2024年7月と比較して2025年4月には約2.6倍に増加した。

今回の実験からは、今後の資源循環に向けた複数の知見が得られた。特徴的なマヨネーズボトル型の回収ボックスが、回収対象を消費者に効果的に伝え、高い回収比率につながったと分析している。一方で、消費者への啓発活動を通じて、「マヨネーズは油なので洗っても落ちない」という先入観が、ボトルを持参する際の心理的な障壁になっていることが明らかになった。また、「協力したいが実施店舗が遠い」という意見も多く、回収拠点の拡大が課題であることも判明した。

これらの結果を踏まえ、両社は2025年7月から実証実験を拡大する。現在のイトーヨーカドー溝ノ口店に加え、イトーヨーカドー川崎店、ヨークマート川崎野川店の計3店舗に回収拠点を増やす。店頭での啓発媒体の設置も強化し、消費者の認知向上と参加促進を図る。今後もマヨネーズボトルの資源循環に向けた技術的な評価を継続していく計画だ。

【プレスリリース】キユーピー(株)と味の素(株)使用済みマヨネーズボトル回収実証実験の進捗を報告
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