キッコーマングループは10月22日、ケミカルリサイクル技術を持つ株式会社CFPおよび三井化学株式会社と連携し、廃プラスチックを油に戻して再資源化する「油化」リサイクルの取り組みを開始した。食品製造工程で発生する廃棄物を、包装資材の原料として循環利用する新たな試みだ。

本取り組みでは、しょうゆなどの調味料を製造するキッコーマンフードテック西日本工場で発生する包装資材やプラスチックボトル、キャップなどの廃プラスチックを回収し、CFP社の油化設備で分解・油化する。生成された「生成油」は、食品容器包装資材の原料として再利用できる炭化水素に変換され、三井化学グループが新たなプラスチックを製造する原料として活用する構想が進められている。

「油化」は、廃プラスチックを化学的に分解し、分子レベルの原料に戻して再利用するケミカルリサイクルの一種だ。熱や触媒を用いてプラスチックを油状の炭化水素に戻す技術で、汚れや異物が付着している、あるいは複数素材が混ざったプラスチックなど、従来のマテリアルリサイクルが困難だった廃プラも処理できる利点がある。

今回の連携では、キッコーマンが排出事業者として廃プラスチックを提供し、CFPが油化技術を担い、三井化学が生成油を用いた素材化を進める。サプライチェーン全体で廃棄物の再資源化を目指す仕組みとして注目される。

キッコーマンは、本取り組みにより焼却処理に比べてCO₂排出量を削減できるほか、廃プラスチックの資源化機会を広げる環境的意義があると説明する。今後は、西日本工場以外の拠点への展開を見据え、対象となる廃プラスチックの種類や再生資材の活用範囲を拡大していく予定だ。

同社は、「キッコーマングループ長期環境ビジョン」に基づき、製品品質の向上とともに、持続可能な社会の実現に向けたサーキュラーエコノミーの推進を続けるとしている。

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