世界の学者・政治家・環境専門家から構成される29名のグループはこのほど、公開書簡に署名し、新型コロナ危機からの経済復興は真のサーキュラーエコノミーへの移行を中心に据えるべきだと各国政府に訴えた。同書簡は、2020年1月に結成された真のサーキュラーエコノミー移行に向けたキャンペーンを行うReal Circularity Coalitionによって主導された。

同グループは、資源ができるだけ長期間利用され、100%リサイクル・再利用可能な場合のみ原材料を利用する経済基盤を目指すべきだと主張。また、サーキュラーエコノミーへの投資により、2030年までにEUで新たな約70万人の雇用を創出できるという欧州委員会の報告を引用した。

欧州委は、すでにサーキュラーエコノミーへの移行を経済復興策の中心に位置づけており、EU域外からの原材料依存を減らすことによるレジリエンスの向上と、サーキュラーエコノミー移行に向けて年間150億ユーロ(約1兆8千億円)の投資をすると表明している。

コロナ危機が始まって以来、グリーン関連銘柄は他の株式に比べて約8%上回っており、人と地球を最優先にする企業へ投資することの確実性が明らかになっていると、書簡は訴える。

以下は、公開書簡の内容だ。

新型コロナ危機は、史上最大の国家による市場介入という結果を引き起こしました。各国政府は、経済復興に8兆ドル(約860兆円)以上の資金を投じています。

新型コロナの蔓延は、人と地球を最優先に位置づける企業への投資に対する確実性を示す形となりました。この危機が始まって以来、グリーン関連株は他の株を8%近く上回っています。

各国リーダーが経済復興へ舵を切る際、短期的で炭素集約度の高い解決策は答えにはなりません。代わりに、100%リサイクルまたは再利用可能な場合にのみ資源が使用される経済を構築することが、より良い未来のための最善の道です。

欧州委員会は実際、サーキュラーエコノミーへの投資によって、欧州において2030年までに約70万人の雇用を生み出し、環境破壊することのない長期的繁栄をもたらす産業を活性化できると見込んでいます。

真のサーキュラーエコノミーは、手に負えなくなりつつある気候変動と地球規模の廃棄物危機という一連の問題を解決する目標を最終的に実現することができます。

これまで以上に、自然に抗うのではなく自然と共存する企業に未来があるという時代に突入しています。危機を克服するための経済対策は、世界のサステナビリティ目標に沿って実行され、グリーンな景気刺激策を前面にそして中心に据える必要があります。

署名者はこちらから確認できる。

【参照記事】EXPERTS CALL FOR CIRCULAR ECONOMY TO BOOST COVID-19 RECOVERY
【参照サイト】Real Circularity Coalition