欧州委員会によって資金提供を受けたCIRC-PACKプロジェクトが環境と消費者にやさしいプラスチック循環型社会に向けて生分解可能な素材を開発した。このCIRC-PACKのプロジェクトは、分別やリサイクルの過程を向上させるのと同時に生分解性で堆肥化可能な代替となるバイオマテリアルやリサイクル可能な容器を製造するためのフォーマットの開発に成功した。

この改革の導入はEU(ヨーロッパ連合)の掲げる、2030年までにすべてのプラスチックを再利用可能、あるいはリサイクル可能にするという高い目標の達成に大きく貢献するだろう。

EUの22の提携先とスペインのキルケ財団(Fundación CIRCE)で構成されたCIRC-PACKはプラスチックのバリューチェーンにおける生産、デザイン、リサイクルの3つの異なる過程での検証結果が前向きであることを分析した。「サステナブルなパッケージバリューチェーンを追求するには、設計は極めて重要です。また堆肥化可能という特徴は、現在の多くのリサイクルできない製品がもたらしている環境への悪影響を確実に最小化できることです。」とキルケ財団の幹事を務めるアイタナ・ヴィラプラナ氏は話す。

CIRC-PACKは3つの異なるデモケースに取り組んだという。1つ目のデモケースでは、再生可能な資源が大半を占めた、生分解および堆肥化可能なバイオマテリアルを開発した。このケースでは、高い印刷適性や耐性のあるコーヒーカプセルやキャリーバッグ、熱しても形を維持する食品トレーなどが精製された。

また消費者の満足する持続可能で環境にやさしい多層・多素材パッケージ生産の実現可能性を2つ目のデモケースで示している。生鮮食品トレーに使用するフィルムなどの原料は、同じ条件で成分が分解される。一方、多素材の容器に関しては、紙のリサイクルと同じ方法でリサイクル可能である。

3つ目のデモケースでは、テクノロジーや最新の手法を用いてプラスチックのリサイクル率を高める方法を発見した。具体的に、CIRC-PACKは異なる廃棄物からリサイクルプラスチックを使った製品を製造した。

そして今回のCIRC-PACKの実験では、消費者がこのバイオ製品を高く評価していることが明らかになった。ベルギー、トルコ、ポルトガル、スペイン、イタリア、クロアチアの6ヶ国で行なわれた消費者への対面検証では、国民がこれらの新しいバイオ製品を評価しただけでなく、多くのCIRC-PACKの製品は、見た目や使いやすさ、耐性などの特徴が従来のプラスチック製品に比べて好感度が高かった。

「消費者によるこの高い満足度は、再生可能または再利用可能な製品の使用を向上する鍵となるため、製品の品質は高くあるべきです。CIRC-PACKは産業パートナーと提携し、市場のニーズに対応しつつもサステナブルな製品を生産できることを証明しました。」とアイタナ氏は強調した。

環境先進国と言われる国が集まるヨーロッパ発の今回の取り組みは、世界へ強い影響を及ぼすだろう。製品の品質を下げることなくサステナブルな製品を生産するという課題の解決に近づいたのは大きな進歩である。環境に配慮した製品への消費者の関心が高まるなか、市場と環境を考慮した製品の開発に焦点が置かれるのではないだろうか。

 

【参照サイト】European project makes plastics production circular