富山県は5月27日、県内におけるサーキュラーエコノミー(CE)への移行を加速し、CE分野のフロントランナーを目指すため、包括的な支援拠点「富山県サーキュラーエコノミー(CE)推進プラットフォーム」を2025年6月に設置する予定だと発表した。この動きは、県が3月に策定した「富山県サーキュラーエコノミー推進ロードマップ」の具現化を目的としており、(公財)富山県新世紀産業機構のイノベーション推進センター内に開設される。
世界的に気候変動問題や資源枯渇が深刻化し、経済安全保障の観点からもCEへの移行が求められる中、富山県は製造業、特にアルミ産業に強みを持つ一方で、廃棄物処理に関する課題も抱えている。こうした背景から、県は「富山県ものづくり産業未来戦略」(3月改定)においてCEを新たな成長分野と位置づけ、産業競争力の強化を目指している。推進ロードマップでは、「全国に先駆けた先行事例の創出」「CE移行への環境整備」「動静脈連携の推進」を3つの柱として掲げた。
新設されるプラットフォームは、これらのロードマップの目標達成に向け、県内企業や市町村に対するワンストップ相談窓口として機能する。具体的には、CEに関する技術相談、情報提供、ビジネスマッチング支援のほか、最新動向や事例を紹介するセミナーや研究会を企画・開催する。また、CE関連技術の開発を促進するための補助金制度の紹介や活用サポートも行う。
プラットフォームが推進する具体的なプロジェクトとしては、異業種連携による廃材を活用したアップサイクル創出プロジェクト「BACCAIng(ばっかいんぐ)」、資源循環や再生可能エネルギーに関する技術セミナーや県外企業視察を行う「グリーン分野研究会」、そして県の基幹産業であるアルミのリサイクル技術開発やCO2排出量見える化に取り組む「とやまアルミコンソーシアム」などが挙げられる。これらの活動は、県庁内の商工労働部成長産業推進室や環境政策課など関連部署が緊密に連携し、経済産業省や環境省が推進する「サーキュラーパートナーズ」とも協力しながら進められる。
富山県は、このプラットフォームを通じて、2030年までに県内のCE認知度90%以上、アルミ産業におけるCE関連プロジェクト年間10件、廃プラスチック類の最終処分率29%以下といったロードマップに掲げられた目標の達成を目指す。これにより、県内企業の競争力強化、新ビジネスの創出、環境負荷の低減を図り、持続可能な地域経済の実現を追求していく。
【参照リリース】富山県CE推進プラットフォームxの設置
【参照記事】富山県サーキュラーエコノミー推進ロードマップ
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