第一三共ヘルスケアとJFEエンジニアリングは6月18日、錠剤やカプセルの包装に使われる「おくすりシート」(PTP包装)などの使用済みプラスチックから、化学品の原料となる合成ガスを生成する実証試験に成功したと発表した。両社は試験を通じ、合成ガスを安定的に取り出せることを確認したとしている。
第一三共ヘルスケアは2022年10月から使用済みおくすりシートの回収を開始し、現在は薬局やドラッグストア、病院、公共施設など100カ所以上に回収拠点を展開している。2026年5月末時点の回収量は約20トン(おくすりシート約2,000万枚相当)に達している。回収したおくすりシートはマテリアルリサイクルにより、ボールペンやトレー、ベンチなどへ再生されてきた。
おくすりシートはプラスチックとアルミニウムを貼り合わせた複合資材で、素材ごとに分離することが難しい。このため、従来のリサイクル手法では再資源化が容易ではなく、より高度なリサイクル手法の確立が課題となっていた。一般的には焼却やサーマルリサイクル(熱回収)で処理されるケースも多い。
JFEエンジニアリングは、複合資材を含む使用済みプラスチックを化学原料へ転換して再資源化するケミカルリサイクル技術の開発を進めており、今回の試験は、その技術がおくすりシートにも適用できるかを検証する目的で実施された。
試験では、第一三共ヘルスケアが一般生活者から回収したおくすりシートを含む使用済みプラスチックを対象に、JFEエンジニアリングの廃棄物ガス化技術(C-PhoeniX Process®)を適用。一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)からなる合成ガスの生成に成功した。
今回の実証により、回収したおくすりシートを再生プラスチック製品として利用するだけでなく、化学品原料として再資源化し、将来的には再びおくすりシートへ生まれ変わる可能性も示された。
生成した合成ガスはプラスチックやSAFの原料、あるいは水素源として活用でき、廃棄物処理に伴うCO2排出や、リサイクル先で使われる化石由来の原燃料を減らすことで、CO2排出量の大幅な削減が期待される。同技術は2024年2月、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業に採択され、実証試験が進められている。
JFEエンジニアリングは、廃プラスチックから合成ガスを経てプラスチック原料などへ再生する一連のケミカルリサイクルの確立を目指している。今回の試験は、その中の「廃プラスチック→合成ガス」工程を小規模な単位で検証したものだ。試験は、NEDOからの委託事業として、環境省および千葉市の協力のもとで実施された。
両社は今後、回収量の増加にも対応できる新たなリサイクルの選択肢として、より具体的な検証を進める方針だ。今後建設が予定されている大規模な廃棄物ガス化プラントでの技術検証を重ねながら、社会実装を目指すとしている。
【プレスリリース】使用済み「おくすりシート」から化学品原料となる合成ガスの生成に成功
【プレスリリース】使用済み「おくすりシート」から化学品原料となる合成ガスの生成に成功
~革新的なケミカルリサイクル技術により、「おくすりシート」を水平リサイクル可能な包装資材へ~
【関連記事】武田薬品、AI需要予測で医薬品廃棄を削減へ。サプライチェーンの最適化に着手




