関東経済産業局は、地域課題の解決と持続可能な社会の実現に向け、「CEコマース(サーキュラーエコノミー型コマース)」の活用を支援する「地域の課題解決をサポートするCEコマースガイドブック」を発行した。
CEコマースは、製品の稼働率向上や利用期間・寿命の延長を通じて資源循環に貢献するビジネスであり、シェアリングやリユース、リペア、アップサイクルといったモデルに整理されている。2026年4月に施行された改正資源有効利用促進法において、CEコマース事業者の類型を新たに位置づけ、資源の有効利用等の観点から満たすべき基準を設定した。
本ガイドブックは、自治体がCEコマースへの理解を深めるだけでなく、導入や事業者との連携に向けた具体的なステップを示した実務的な指針として作成されたもの。単なる事例集にとどまらず、ビジネスモデル別や地域特性別に取り組みの方向性を整理することで、現場での活用イメージを持ちやすい構成としている。
CEコマースの推進により、廃棄物削減やCO2排出削減といった環境面の効果に加え、雇用機会の創出や地場産業の活性化、住民の利便性向上など、多面的な効果が期待されるとした。ガイドブックでは、廃棄物対策に加え、空き家問題、インフラ維持、観光に伴う廃棄物、子育て支援など、多様な地域課題に対してCEコマースが有効な手段となり得ることを示している。
地域特性に応じた5つのビジネスモデル
ガイドブックでは、これらの考え方を踏まえ、地域特性に応じた5つのビジネスモデルを提示している。
暮らし支援シェアリング
引越し頻度が高く単身世帯が多い都市部など、短期間利用のニーズが高い地域で普及しやすい。家具・家電のサブスクリプションサービスを展開する株式会社クラスのような事業者は、引越しやライフステージの変化に対応できる柔軟な利用形態が特徴で、初期費用の抑制と廃棄物削減の両立に寄与する。
自治体回収品リユース
クリーンセンターとの連携が可能で、分別意識が高く回収体制が整備されている地域で効果を発揮しやすい。不要品を有価物として回収し、選別のうえ再流通させる株式会社ECOMMITのような事業者は、廃棄物削減とコスト低減に加え、地域内での雇用創出にもつながる。
住民参加型リユース
駅や商業施設など人が集まる拠点があり、生活動線が比較的固定されている地域で普及しやすい。不用品回収ボックスなどを活用し、住民が日常的にリユースに参加できる仕組みを構築することで、循環行動の定着が期待される。
地域人材活用リペア
ファミリー層や高齢者が多く、モノを長く使う文化が根付いている地域や、修理技術を持つ人材が存在する地域と相性が良い。ユアマイスター株式会社はモノのリペア・メンテナンス等を推進するプラットフォームを展開する。こうしたサービスは、修理を通じて製品寿命を延ばすとともに、地域の技能活用や仕事創出にもつながる。
未利用資源アップサイクル
地域資源やブランド戦略が明確で、課題認識が共有されている地域で展開しやすい。株式会社スマイルズなどが取り組むように、未利用資源を新たな商品として再生することで、廃棄物削減と地域の魅力向上、新たな収益機会の創出を実現する。
導入プロセスと連携手法
自治体が導入を進める際には、課題の特定やビジョン設定から、事業者選定、連携体制の構築、取組の実施、効果の拡大に至るまで段階的なプロセスが重要とされる。また、事業者選定においては「透明性」「公平性」「持続性」の観点が不可欠であり、公募や情報公開などを通じた仕組みづくりが求められる。
ガイドブックでは、自治体とCEコマース事業者の連携方法を、「CONTRIBUTE」「CHANGE」「COLLABORATE」の3タイプ・7パターンに整理している。
CONTRIBUTE(自主的な参加・貢献)
「CONTRIBUTE」では、①自治体が公共調達などを通じてCE製品を率先導入し、市場形成を後押しする。
CHANGE(住民の巻き込み)
「CHANGE」では、②規制強化、③廃棄手段の多様化、④啓発を通じて住民の行動変容を促す。
COLLABORATE(事業者同士の連携促進)
「COLLABORATE」では、⑤資源選別の高度化、⑥未利用資源の活用、⑦地域内連携による新たな価値創出を進める。
これらは、自治体が主体となり住民や事業者と連携して段階的に展開することが重要で、地域特性に応じた組み合わせが求められる。鎌倉市のリユース容器シェアリング、松戸市の粗大ごみリユース、高崎市の資源交換、滋賀県の家具リペア、那須町のアップサイクルといった先進事例も掲載されており、自治体が導入を検討する際の具体的な参考となる。
今後の展望
同局は、本ガイドブックを通じて自治体と事業者の連携を促進し、地域における資源循環の取り組みを加速させることで、循環型社会の実現と地域課題の解決につなげたいとしている。今後は、自治体が地域特性に応じて適切なビジネスモデルや連携手法を選択し、段階的に実装していくことが求められる。ガイドブックが示す実践的な枠組みを活用しながら、官民連携による取り組みがどこまで広がるかが注目される。
【プレスリリース】「地域の課題解決をサポートするCEコマースガイドブック」の発行について
【参照記事】CEコマースガイドブック
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