経団連は3月、資源安全保障の強化に向けたサーキュラーエコノミー(CE)推進に関する提言を公表した。地政学リスクの高まりや重要鉱物の供給偏在を背景に、従来の環境政策の枠を超え、CEを経済安全保障と産業競争力強化の柱として位置づける必要性を訴えている。
提言では、レアメタルやレアアースなどの重要鉱物が特定国に偏在し、供給リスクが高まっている現状を指摘。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)に不可欠な資源について、安定確保が喫緊の課題とした。
また、EUではこうした地政学的リスクを踏まえ、CEを環境政策にとどまらず資源安全保障政策として再定義し、域内での資源確保を強化している点にも言及し、日本も同様の戦略転換が必要だと強調した。
その上で経団連は、資源を持たない島国である日本にとって、一次資源の確保強化に加え、使用済み製品から資源を回収する都市鉱山の戦略的活用が不可欠だと強調。産官学連携のもと、「CE加速に向けた都市鉱山戦略アクションプラン」の策定を求めた。
さらに、一次資源についても国家備蓄の充実や調達先の多様化、採掘・製錬段階への支援強化などを通じて、供給途絶リスクの低減を図る必要性を指摘している。同アクションプランについては、経済安全保障や成長戦略と一体となる国家戦略の中核として位置づけるべきだとしている。
今回の提言は、民間セクターの立場から資源安全保障の強化を緊急性の高い事項として促した形だ。
提言の柱は大きく4点に整理される。
1.製品等の製造段階における環境配慮設計の強化
まず、製品設計段階からリサイクルを前提とした環境配慮設計の強化を掲げた。資源使用の削減や解体・分離の容易化、代替素材の開発などを通じて、将来の資源回収効率を高める狙いだ。
2.資源の安定供給・サプライチェーン強靱化に資する再生資源供給体制強化
次に、再生資源の供給体制の強化として、国内の非鉄製錬所など再資源化拠点の整備・ネットワーク化を提案。電気自動車向けリチウムイオン電池や太陽光パネルのリサイクル体制構築も急務とした。また、使用済み製品の回収率向上や広域処理の推進、不正輸出の防止なども課題に挙げている。また、再生材利用を促すため、企業間の長期契約や公共調達、消費者インセンティブの導入も提案している。
加えて、二次資源は一次資源に比べてコストが高い傾向にあることから、重要鉱物については政策的支援や制度設計によるコスト補完が必要だと指摘した。また、再生材利用を促すため、企業間の長期契約や公共調達、消費者インセンティブの導入も提案している。さらに、廃基板や蓄電池などに含まれる資源の国外流出を防ぐため、不正輸出対策の強化やトレーサビリティ確保に向けたデータ連携の重要性も強調している。
3.国際資源循環ネットワークのハブ機能の強化
日本が国際資源循環のハブとなるべきだとし、海外からの電子スクラップ回収やASEAN諸国との連携強化を提唱。EUとの制度調和や物流インフラ整備の重要性も指摘した。
4.異業種・動静脈・産官学連携の推進と消費者啓発
最後に、異業種連携や産官学協働の強化とともに、消費者の理解促進の必要性を強調。循環経済は単独企業では実現できないとして、循環経済パートナーシップやサーキュラーパートナーズなどの枠組みを活用した連携を促進。人材育成や省力化投資の推進に加え、「GREEN×EXPO 2027」を通じた消費者意識の向上も重要とした。
経団連は、CEへの移行について「単なる環境政策にとどまらず、経済安全保障に直結する」と位置づけ、「国内での資源循環を確立することが、日本の自律性と国際的不可欠性の確保につながる」としている。
【参照サイト】資源安全保障に資するサーキュラーエコノミー推進に関する提言
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