環境省は、プラスチック資源循環の社会実装を後押しするモデル事業の結果を公表するとともに、次年度に向けた新たな公募を開始した。企業や自治体による先進的な取り組みを横断的に支援し、資源循環の仕組みを全国に展開する狙いだ。

今回公表されたのは、「先進的社会実装モデル形成支援事業」の結果で、社会実装手前の段階にある技術や仕組みの実証を対象に、企業や自治体などから広く募集し、8件のモデル事業を採択した。

背景には、国内でのプラスチック資源循環の強化がある。政府は「2035年までに使用済みプラスチックを100%有効利用」といった目標を掲げており、制度面では2022年にプラスチック資源循環促進法が施行されている。

採択された事業では、自治体主導の地域循環モデルから、物流・建設・化粧品など産業横断の取り組みまで、多様な実証が行われた。例えば、東京都荒川区は回収したプラスチックを再資源化し、区内で製品化する「地産地消型リサイクル」を検証。ヤマト運輸は宅配ネットワークを活用したペットボトル輸送の効率化を試みたほか、資生堂は使用済み化粧品容器の店頭回収と水平リサイクルの可能性を検証した。

これらの実証では、CO₂排出削減やコスト低減に加え、消費者の行動変容や業界横断のサプライチェーン構築といった効果も確認されている。特に、物流網の活用やリユースカップの導入など、既存インフラを活かした取り組みは、全国展開の可能性が高いと評価された。

あわせて環境省は、同事業の令和8年度公募を開始した。対象は、プラスチック資源循環の社会実装に至る前段階にある実証事業で、企業、自治体、NPO、団体、個人など幅広い主体が応募可能とする。従来は自治体中心だった対象を拡大し、より多様なプレーヤーの参入を促す。

公募の対象となる取り組みは、ワンウェイプラスチックの削減や環境配慮設計の推進、廃プラスチックの回収量拡大、効率的な収集・輸送によるコスト低減、再生材の利用拡大に向けたサプライチェーン構築など。リサイクル単体ではなく、設計から回収・再利用までを含む一体的な仕組みが重視される。

支援額は1件あたり300万円から最大3,000万円程度で、モデル事業に必要な費用を原則全額支援する。対象経費には、人件費や調査費、設備のリース費用、広報費などが含まれる。

スケジュールは、2026年4月14日から5月18日まで応募を受け付け、6月に選考結果を通知。その後、契約を経て7月頃に事業開始、2027年2月までに実施・成果報告を行う流れとなる。

プラスチック資源循環は、従来のリサイクル中心の取り組みから、設計・回収・再利用までを一体化したシステム構築へと移行しつつある。今回のモデル事業と公募は、その実装フェーズを加速させるための具体策として位置づけられ、今後は横展開と事業化の進展が焦点となる。

【プレスリリース】令和7年度プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業の結果について
【プレスリリース】令和8年度プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業の公募の開始について
【参照レポート】令和7年度プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業の結果について
【参照記事】プラスチック資源循環に関する先進的社会実装モデル形成支援事業公募要領
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