独自動車大手メルセデス・ベンツはこのほど、化学大手のBASFとスタートアップのPyrum Innovationsと提携して、廃タイヤの熱分解油と農業廃棄物から生成したバイオメタンを使って石油由来のバージンプラスチックに相当する品質を持つ自動車部品向けプラスチックの開発に業界で初めて成功したことを明らかにした。2022年中にSクラスと電気自動車EQEのドアハンドルに使用される。
同社は廃タイヤのケミカルリサイクルの実現に向けた連携を模索していたが、BASFによる熱分解油とバイオメタンとの混合ケミカルリサイクル技術の優位性に着目、今回の提携に至った。独立した第三者機関による認証済みの手法を用いて、マスバランス方式に基づき再生原料の割合を最終製品に割り当てることになる。今後はドアハンドルのほか、Sクラスでは緩衝装置にもこのリサイクルプラスチック素材が使われるとしている。
メルセデス・ベンツは天然資源利用の削減を図っており、2023年までに自動車車体で使われる素材の40%をリサイクル材とすることを目標としている。新車の乗用車については、2039年までにカーボンニュートラルの実現も目指している。
【参照サイト】
From scrap tyres to door handles – Mercedes-Benz takes firm grip of circularity
冒頭画像は、メルセデス・ベンツによるケミカルリサイクルのイメージ図(同社提供)
木村 麻紀
環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。サーキュラーエコノミー(CE)における関心領域は、CE×社会包摂的まちづくり、CE×教育など。SDGs.tv公認ラーニングコーチ。
プロフィール詳細はこちら:http://www.makikimura.com/profile/