循環経済パートナーシップ(J4CE)はこのほど、取り組み事例のなかでいま注目すべき事例26件をまとめた「注目事例集2022年度版」を公開した。

J4CEは、2021年3月に環境省・経済産業省・日本経済団体連合会(経団連)が共同で創設した。国内企業を含めた幅広い関係者における循環経済へのさらなる理解醸成と取り組み促進を目指し、官民連携強化を目的としている。

2022年9月18日時点で、J4CEには企業136社と18団体が参加しており、これまでに約160件の取り組み事例が寄せられ、これらの全件をJ4CEのウェブサイトで公表している。2021年9月には、28件の事例を選定して「注目事例集2021年度版」が刊行された。

「注目事例集2022年度版」の作成にあたって、J4CEは脱炭素に関する事例や、多様な業種における資源循環の事例を重視して選定したとしている。今回は、「鉄」「非鉄」「セメント」「紙・木質資源」「バイオプラスチック」「プラスチックの回収と再生」「リサイクル技術(家電・プラスチック・繊維)」「リサイクルループの形成(プラスチック・食品リサイクル)」を注目分野として、すでに実績のある技術や事業モデル、将来に向けた研究開発や連携の取り組みなどを挙げた。注目事例集2022年度版の概要は、以下である。

注目分野1「鉄」

  • 日本製鉄株式会社:持続可能(サステナブル)な素材 鉄、鉄鋼スラグの有効活用
  • パナソニック株式会社:再生鉄の循環スキーム構築

注目分野2「非鉄」

  • DOWAホールディングス株式会社:非鉄製錬・リサイクルコンビナートによる多種多様な金属の回収
  • JX金属株式会社:銅製錬事業におけるリサイクル
  • 株式会社エンビプロ・ホールディングス:リチウムイオンバッテリーの水平リサイクル

注目分野3「セメント」

  • 太平洋セメント株式会社:セメント産業での廃棄物循環利用、リチウムイオンバッテリーのリサイクル、エコセメントシステムによる都市ごみ焼却残渣からの貴金属回収

注目分野4「紙・木質資源」

  • 日本製紙株式会社:「木質資源を生み出し、もっと循環させる」、「資源化事業への取り組み~使用済み紙容器リサイクルの推進~」、「新しいバイオマス素材の開発~セルロースナノファイバー~」
  • 根羽村森林組合:杉の木からできたタオル

注目分野5「バイオプラスチック」

  • 三菱ケミカル株式会社:再生可能な植物由来原料を用いたバイオエンプラ DURABIO、生分解かつバイオマスプラスチックBioPBS™の農業用フィルム
  • 三井化学株式会社:バイオマスナフサによるバイオマスプラスチック製造
  • 日清食品ホールディングス株式会社:環境配慮型パッケージ「バイオマスECOカップ」

注目分野6「プラスチックの回収と再生」

注目分野7「リサイクル技術(家電・プラスチック・繊維)」

  • 一般財団法人 家電製品協会:AI(人工知能)を用いた自動ピッキング装置
  • ソニーグループ株式会社:難燃性再生ポリカーボネイト SORPLAS™
  • 帝人株式会社、日揮ホールディングス株式会社、伊藤忠商事株式会社:ポリエステルのケミカルリサイクル技術

注目分野8「リサイクルループの形成(プラスチック・食品リサイクル)」

  • 日榮新化株式会社、東洋紡株式会社、シオノギファーマ株式会社、株式会社トッパンインフォメディア、三井物産ケミカル株式会社:ラベル台紙の循環型水平リサイクル「資源循環プロジェクト」
  • イオン株式会社、大栄環境株式会社、イオンアグリ創造株式会社、イオンリテール株式会社、株式会社ダイエー他:食品リサイクルループの構築
  • JFEエンジニアリング株式会社、J&T環境株式会社、アーバンエナジー株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社JR東日本環境アクセス、株式会社Jバイオフードリサイクル:横浜食品リサイクルプロジェクト

J4CEは同事例集を通じて、優れた技術・アイデア・企業間連携などの取り組みによって日本企業が循環経済を促進していることが内外に広く知られ、こうした取り組みが広まることで日本と世界の循環経済促進に貢献したいとしている。環境省は、2022年9月に策定した報告書「第四次循環型社会形成推進基本計画の第2回点検結果(循環経済工程表)」において、J4CEを活用して循環経済促進に取り組み、国内外に情報発信することを指針の一つに定めている。

【参照サイト】日本企業による循環経済への取組 注目事例集
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