Spiber株式会社は7月2日、イタリアの高級糸メーカーManifattura Sesia社およびテキスタイルメーカーAchille Pinto社との新たなパートナーシップ締結を発表した。この協業により、植物由来の原料から発酵プロセスを経て作られる同社のプロテイン繊維「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)ファイバー」を用いた、新たな糸や生地のコレクションを開発する。
Brewed Protein™は、植物由来の糖類などを主原料とし、微生物を活用した独自の発酵(ブリューイング)技術を用いて製造される構造タンパク質繊維だ。石油などの枯渇資源に依存せず、また動物由来の素材(アニマルフリー)でもないため、アパレル業界が抱える環境負荷や動物福祉といった課題への解決策として期待されている。シルクのような光沢やカシミアのような滑らかさなど、多様な特性を分子レベルで設計できる点も特徴だ。
今回の提携では、Manifattura Sesia社がBrewed Protein™ファイバーを30%含有するウール混紡糸「T-Gen」を開発した。一方、Achille Pinto社は、Brewed Protein™ファイバーを15~30%含有するシルクやウールとの混紡生地コレクションを開発。このうちシルクとの混紡生地は欧州初の取り組みであり、同社は欧州で初めてBrewed Protein™生地へのプリント技術も確立した。
Spiberの既存パートナー企業も新たな動きを見せている。Zegna Baruffa Lane Borgosesia社は2種類のウール混紡糸を、Marzotto Groupは5種類のテーラリング用素材を発表。Botto Giuseppe社は欧州で唯一となる100% Brewed Protein™梳毛糸をリニューアルした。また、日本の繊維専門商社である瀧定名古屋株式会社は、世界初となる100% Brewed Protein™ファイバーのスーツ用生地や、デニムメーカーの塩田と共同で開発した含有率20%のデニム生地など、20種類以上の新作を発表した。
これらの新開発品は、フィレンツェで7月1日から3日にかけて開催されるニット糸見本市「Pitti Filati」と、ミラノで7月8日から10日にかけて開催される高付加価値テキスタイル見本市「Milano Unica」のSpiberブースで展示される予定だ。
Manifattura Sesia社のクリエイティブディレクター、キアラ・セッラ氏は今回の協業について「T-Genの開発で得られた成果を大変誇りに思う。手触りは驚くほど柔らかく、純ウールより軽量で、技術的にも非常に興味深い特性を持つ。これは、持続可能なテキスタイルを追求する我々の取り組みの最先端を示すものだ。T-Genは、品質を長く維持できる、より責任ある糸を創造するという当社の長年の歩みにおける、新たな節目となる」のように述べた。
【プレスリリース】Spiber、イタリアの高級繊維メーカー2社 Manifattura Sesia社およびAchille Pinto社との新たなパートナーシップを発表
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※ アイキャッチ画像はプレスキットの画像より作成
