「Alliance to End Plastic Waste(廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス、以下AEPW)」
は3月29日、日本のクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA ※1)および独立行政法人 国際協力機構(JICA ※2)と覚書を締結したことを発表した。両組織はAEPWと協力し、特にアジア太平洋地域全体でプラスチック汚染に取り組むプロジェクト開発の加速を目指す。

署名式の様子(出典:独立行政法人 国際協力機構)

2019年に設立されたAEPWは、世界各国のプラスチックバリューチェーンに携わるさまざまな業界の主要企業が参加する非営利団体で、循環型経済実現に向けた解決策の提案や投資を行っている。2021年3月時点で、グローバル企業など57の組織と15の政府系・非政府系組織が参加している。

署名式の様子(出典:クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)

CLOMAとJICAは今回の連携協定に基づき、以下の取り組みで協力するとしている。

CLOMA

  1. 環境に流入するプラスチック廃棄物を削減するためのプロジェクトを共同実施
  2. プラスチック廃棄物管理について、知識やベストプラクティスを共有

JICA

  1. 世界的な廃棄プラスチック問題に関する意識啓発や理解促進
  2. 地域レベルの廃棄物管理に関する改善策の検討および支援
  3. 循環型経済に関する戦略立案、知見や好事例の共有

AEPWの代表兼最高経営責任者(CEO)であるJacob Duer氏は、「日本には、プラスチック廃棄物をなくすという私たちのビジョンと取り組みを共有し、同じ目標を持つCLOMAやJICAのような組織があります。今回の連携によって、CLOMAやJICAが持つ優れた知識・能力・アクセスに基づく協働が始まります。協力することで、海洋や環境におけるプラスチック廃棄物流出に対処するための解決策の発見と開発を加速できます。同連携が長く続き、有意義なものになることを期待しています」と話した。

CLOMAの澤田道隆会長は、「海洋プラスチックごみの課題を解決するには、循環型経済を早期に実現して、アジアやアフリカなどの地域に対して解決策を提案していかなくてはなりません。これは、企業が連携するだけでなく、行政や市民ともしっかり協働して、素材のイノベーション・プラスチック使用量の削減・大規模なリサイクルを推進することを意味します。CLOMAは、メンバー企業の技術と知見を活用し、国際的なネットワークを構築することを目指しています。その第一歩として、グローバル企業など多くの組織が参加するAEPWと連携を結べたことは非常に大きな意味があります」と述べた。

JICAの天野雄介理事は、「多くの開発途上国では、まだ廃棄プラスチック対策に必要な技術や資金が不足しています。これまで当組織は、陸域での廃棄物管理を改善するために、廃棄物管理従事者の能力強化・代替製品の導入促進・市民の啓発などの支援を進めてきました。AEPWとのこの覚書が、実りある協力につながることを期待します」と語った。

連携は、AEPWの取り組みの中核を形成するとAEPWはみている。AEPWは企業や組織と共に、主に東南アジア・インド・アフリカで28件のプロジェクトのポートフォリオを構築しており、これらのプロジェクトが完了すると、年間推定37万5,000トンのプラスチック廃棄物が環境から排除されるとAEPWは公表している。

※1 CLOMA:日本国内および世界のプラスチックに関わる課題解決に貢献することを目的とする、2019年に設立された企業連合プラットフォーム。2021年3月時点で、393社の企業が参加している
※2 JICA:日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っている

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