株式会社ドリームインキュベータと株式会社デンソーは8月6日、両社が共同で進める「製造・モビリティ分野向け統合デジタルプラットフォームのインド社会実装事業」が、国連工業開発機関(UNIDO)の「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択されたと発表した。本事業を通じて、インドの製造業におけるサプライチェーンの最適化と、自動車アフターマーケットのバリューチェーン構築を目指す。

同事業は2025年7月から2027年11月までの期間で実施される。事業の中核となるのは、デンソーがアジア・インド地域で展開するデータ駆動型ソリューションプラットフォーム「Solwer」だ。この統合プラットフォーム上で、物流管理、カーボンフットプリント(CFP)管理、製造現場の改善支援(KAIZEN IoT)、自動車アフターサービス関連の予約・管理アプリ、AIによる車両損傷検出ツールの5つのアプリケーションを社会実装するための実証を進める。プロジェクト全体の管理・調整と事業開発支援をドリームインキュベータが担い、アプリケーションの運用や現地での実証はデンソーが主導する。

特にカーボンフットプリント管理ツールは、製造からアフターサービスに至る製品ライフサイクル全体の二酸化炭素排出量を可視化し、事業者自身の排出(Scope1)、エネルギー使用に伴う間接排出(Scope2)、そしてサプライチェーン全体での排出(Scope3)の追跡と削減を支援する。サプライチェーンの透明性を高め、脱炭素化を促進するこの取り組みは、サーキュラーエコノミーの重要な要素である。また、物流の最適化や、修理・メンテナンスを効率化するアフターマーケット向けアプリケーションは、資源効率の向上や製品寿命の延長に貢献する。

UNIDOのプログラムは、日本の経済産業省の資金拠出のもと、グローバルサウス諸国における日本企業の技術実証を支援し、現地の産業インフラ確立やサプライチェーン強化を推進するものだ。急成長を続けるインド市場では、製造業の競争力強化と環境負荷低減の両立が喫緊の課題となっており、サプライチェーンのデジタル化は解決策の鍵を握る。

ドリームインキュベータは、本事業で得た知見を活かし、インド市場での事業創出を目指す日本企業への支援を拡大する方針だ。一方デンソーは、インドでの社会実装から得られた技術やノウハウを、新興国で開発した製品やサービスを先進国に導入する「リバースイノベーション」として、日本国内や他国へも展開することを目指している。

【プレスリリース】ドリームインキュベータとデンソー、インドで製造・モビリティ分野向け統合デジタルプラットフォームの社会実装事業を開始 ~UNIDOの産業協力プログラムに採択~
【関連サイト】BlueRebirth協議会
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