株式会社デンソーは3月24日、欧州自動車業界におけるデータ連携基盤「Catena-X(カテナエックス)」に関して、日本企業として初めて「EcoPass(エコパス)」認定を2025年2月14日に取得したと発表した。この認定により、デンソーが開発を進めるデジタルプロダクトパスポート(DPP)用アプリケーションが、Catena-Xのルールに準拠したデータ交換機能を有することが認められた。また、Business Application Providerとしても初の日本企業認定となったという。

Catena-Xは欧州発のデータスペースであり、自動車業界のサプライチェーン全体を通じて信頼性のあるデータ共有を可能とするエコシステムである。EcoPassとは、Catena-Xが定める標準的なデータモデルと交換ルールを満たしたソリューションに付与される。また、デジタルプロダクトパスポート(DPP)は、製品の製造元、素材、CO₂排出量、リサイクル性などを記録し、トレーサビリティを確保するための仕組みである。

背景には、サーキュラーエコノミーへの転換と法規制の強化がある。EUでは2027年2月から「欧州電池規則」により、車載・産業用電池を対象とする「バッテリーパスポート」の導入が義務化される見込みで、製品情報の国際的なデータ連携が求められている。日本国内でも、経済産業省が推進する「Ouranos Ecosystem(ウラノス・エコシステム)」が2023年より始動し、業種横断的なデータ連携に向けた基盤整備が進む中での取り組みとなる。

デンソーは2021年にCatena-Xに参画。同社は今後、バッテリーパスポート用アプリケーションの完成を見据え、EcoPass認定を得たソリューションを自社内のみならずサプライチェーン全体に提供していく方針を示している。なお、今回のアプリケーションには、ドイツテレコム傘下のT-Systemsが開発した「EDC(Eclipse Dataspace Components)」コネクタを含む接続用ソフトウェアが採用されている。EDCは、データ主権を確保しながら企業間での通信を支える技術である。

デンソーは、国内外を問わずバリューチェーン全体での循環型社会の実現に向けた技術基盤整備を継続していく構えだ。

【プレスリリース】デンソー、日本で初めてCatena-XのEcoPass認定を取得
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