家具・家電のサブスクリプションサービスを展開する株式会社クラスは11月11日、総額10億円の資金調達を実施し、直近の資金調達ラウンドにおける累計額が35.3億円に達したと発表した。スタートアップとしては珍しい長期の無担保・無保証融資や協調リースといったデットファイナンス(負債による資金調達)やアセットファイナンスを積極的に活用しており、安定した財務基盤を背景に事業拡大を加速させる。
今回の10億円の調達は、SBI新生銀行の成長支援ローン、商工組合中央金庫の無保証融資、リース会社4社によるシンジケートリース(協調リース)などを組み合わせて実行された。同社はこれまでも、第三者割当増資といったエクイティファイナンスに加え、セールアンドリースバックやレベニュー・ベースド・ファイナンス、社債発行など多様な手法を組み合わせた資金調達戦略を構築してきた。
このような戦略により、株式の希薄化を抑制し資本効率を高めながら、事業成長に必要な資金を機動的に確保できる体制を整えている。同社によると、良好な利益推移と安定した営業キャッシュフローが金融機関からの評価につながり、今回の調達では運転資金名目での融資が実現したことで、資金使途の自由度も向上したという。調達した資金は、商品の取り扱いカテゴリーの拡充と在庫拡充に充当し、耐久消費財の循環型ビジネスを推進する。
クラスは、「“暮らす”を自由に、軽やかに」をビジョンに掲げ、個人向けに家具・家電のレンタル・サブスクリプションサービス「CLAS」を、法人向けにはオフィス構築サービスなどを展開している。利用後に返却された商品は、専門チームが修繕やクリーニングを施して再活用する。この事業モデルは、環境省の「デジタル技術を活用した脱炭素型資源循環ビジネスの効果実証事業」において、従来の販売モデルと比較してCO2排出量を36%、廃棄物発生量を38%削減する効果が確認されている(2023年2月時点)。
同社の代表取締役社長である久保裕丈氏は、「当社の安定した収益基盤と健全なキャッシュフローを背景に、長期プロパー融資やシンジケートリースといった先進的な金融手法を確立できた。これは、当社の財務健全性が金融機関から高く評価された結果であり、スタートアップとしては異例の、資本コストが低く柔軟性の高い資金調達を実現したことを意味する」と述べた。
【プレスリリース】さらなる拡大フェーズへ向けた資金調達を累計35.3億円で完了
【関連記事】家具サブスクのCLAS、営業黒字と成長基盤強化。ハイブリッド型資金調達で耐久財循環を拡大
【関連記事】サブスクサービスCLASの目指す「ものを捨てない社会づくり」に、登録者の約4割が期待
【関連記事】京都市、公民連携・課題解決推進事業に家具家電サブスク展開のCLASを採択





