目次
自動車のデジタルパスポートとは?
EUのグリーンディールおよびその中核をなす循環型経済行動計画(2020年版)のもと、自動車の循環性を促進するツールとして現行指令を大幅に改正する「使用済自動車規則」の法案が2023年7月に発表された。新規則案では、現行の使用済自動車指令と自動車のエコデザインを扱う3R型式認証指令が一体化されることになり、ライフサイクル全体に焦点を当てたものとなる。詳細はこちらをご覧いただきたい。
新法案のなかでは、現在EUが推進するデジタルプロダクトパスポート(以下、DDP)である「サーキュラー自動車パスポート(以下CVP)」が導入されることになっている。DPPはサステナビリティと循環性の推進において必要な製品情報を開示するためのツールとなるものだ。
DPP運用における初のケースとなるのは、2023年8月に発効となった「電池規則」によりEV用・2kW以上の産業用および軽移動手段用電池に対し義務付けられているバッテリーパスポートである。2027年から対応が必要となる同パスポートについては、すでにステークホルダーの間でコンソーシアムや共同開発グループが結成され、技術開発プロジェクトが進んでいる。
また2022年に欧州委員会が発表した「サステナブルな製品を促進するエコデザイン規則」案では、一部の除外品以外は全ての製品に対しDPPを導入することを表明している。今後は優先項目製品を皮切りに、中間製品も含む多数の製品へ段階的な導入が予定されている。加えてEUは、あらゆる情報のデジタル化と加盟各国間および国際レベルにおけるデータ交換システムの構築も目指しており、DPPは各分野でその運用ツールとして採用されることが想定される。
この記事は、Circular Economy Hub 会員専用記事となります。
会員種別と特典
藤原 ゆかり
欧州在住フリーライター/リサーチャー。EUの政策・規制、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および調査に携わっている。専門分野:EU環境政策・規制。イギリスの大学院で戦争学、国際関係学を学ぶ。趣味は旅行と油絵。