知財・技術分析を手がけるアスタミューゼは11月20日、循環経済に関する包括的な技術・市場分析をまとめた「CEレポートシリーズ」の提供を開始した。金属やプラスチック、電子部品、水、CO₂など、循環経済の実現に不可欠とされる8つの重要素材領域を対象に、技術動向や主要プレーヤー、投資の流れを体系的に可視化する。

レポートは、循環経済全体を俯瞰する総合編と、素材ごとに詳細分析を行う個別編の二層構成となっている。アスタミューゼが保有する、特許や論文、研究助成、投資情報など7億件超のイノベーションデータを基盤に、素材特性に応じた循環戦略の適用状況や技術競争力を定量的に整理した点が特徴だ。各素材について、製品寿命の延長、再利用、再生といった循環アプローチ別に技術の成熟度や研究開発の集中領域を把握できる。

循環経済への移行は、欧州を中心とした規制強化や自然関連財務情報開示の広がりを背景に、日本企業にとっても経営上の重要テーマとなりつつある。一方で、素材ごとに必要な技術や投資判断は異なり、自社の強みをどこに見いだすかは容易ではない。アスタミューゼは、これまで400社以上の新規事業や研究開発戦略を支援してきた実績を踏まえ、こうした意思決定を支える分析体系を構築したとしている。

対象となる素材は、金属や電子部品、プラスチックなどの化成品、無機材料、バイオマス資源といった物質資源に加え、水、CO₂、廃棄物・リサイクル材といった環境資源まで幅広い。レポートでは、特許や研究助成の推移、スタートアップの動向、主要企業の技術ポジションを比較でき、新規事業開発や研究開発投資、M&A候補の探索、情報開示対応などへの活用が想定されている。

あわせて、2025年内限定の取り組みとして、レポート購入企業を対象に、同社のデータ基盤を活用したAIエージェントの提供も予定されている。分析結果と探索支援を組み合わせることで、戦略立案から実行までの効率化を図る考えだ。

【プレスリリース】サーキュラーエコノミー技術を網羅した「CEレポートシリーズ」の提供を開始
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