ブリヂストンは4月9日、天然ゴムの安定供給と生産性向上を目的に、インドネシア大学、横浜市立大学、前橋工科大学と共同で、天然ゴムの原料となるパラゴムノキの遺伝子解析に関する研究を開始したと発表した。遺伝子情報を活用し、収量が多い個体などの特性を早期に見分ける技術の確立により、将来的な原料供給の安定化につなげる狙いだ。

今回の共同研究では、ブリヂストンがインドネシアに保有する天然ゴム農園で育成したパラゴムノキや遺伝子情報を活用し、各大学の技術と組み合わせて解析を実施する。DNAやRNAの情報をもとに、生産性に関わる遺伝子を特定し、高収量かつ安定した特性を持つ「エリートツリー」を早期に選抜できる技術(マーカー選抜技術)の確立を目指す。

天然ゴムは再生可能資源である一方、赤道付近の限られた地域でしか生産できず、気候変動や病害の影響を受けやすいという課題を抱える。さらに、世界的な自動車需要の拡大に伴い、タイヤ原料としての需要増加が見込まれる中、持続可能な形での供給安定化が重要なテーマとなっている。天然ゴムはEUの森林破壊防止規則(EUDR)の対象品目にも含まれており、森林破壊や土地利用変化を伴わない形での調達が求められている。欧州市場において事業を継続するうえでは、重要な要件の一つとなっている。

こうした中で、同社が掲げる循環型・再生型のビジネスモデルへの移行は、環境配慮にとどまらず、生態系への影響を抑えた資源調達を実現するうえでの戦略的要素として位置づけられる。

ブリヂストンはこれまでも、病害診断技術やビッグデータを活用した植栽最適化などを通じて天然ゴムの生産性向上に取り組んできた。今回の研究はこうした取り組みをさらに進め、遺伝子レベルでの生産性改善を図るものと位置付けられる。

同社はサステナビリティを経営の中核に据え、原材料調達から製品利用・再生に至るまでのバリューチェーン全体で、カーボンニュートラルや循環型ビジネスの実現を目指している。今回の研究もその一環として、天然ゴムの持続可能性向上と、より安定した供給体制の構築への寄与が期待される。

天然ゴムの需要拡大と供給制約が同時に進む中、原材料の安定確保は企業の競争力にも直結するテーマとなっている。遺伝子情報を活用した生産性向上の取り組みは、資源制約下におけるサプライチェーンのあり方を見直す動きの一つとして、今後の展開が注目される。

【プレスリリース】天然ゴムのサステナビリティの実現に向けて、3大学とパラゴムノキ遺伝子解析の共同研究を開始
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