いま、飲料業界で紙製ボトルの開発が進められている。酒造業の英・Diageo(ディアジオ)は、200年の歴史を持つ同社ウイスキー「ジョニー・ウォーカー」を2021年に紙ベースのボトルで販売すること発表し、デンマークに本拠を置くビール醸造業・カールスバーグも紙製ボトル「グリーンファイバーボトル」の試作品を発表している。
そして今回、飲料世界大手コカ・コーラ社は、パートナー会社であり、デンマークに本拠を置く紙ボトル製造開発会社であるPabocoおよびPabocoが率いる紙ボトルコミュニティPaboco Pioneer Communityに参加する3社と協力し、紙製ボトルのプロトタイプを製作した。ごみのない世界の実現を目指す同社の目標は、2030年までに、販売するすべてのボトルと缶を収集してリサイクルすること、プラスチック原料のバージン包装材の使用を大幅に削減すること、100%リサイクル可能な包装材のみを使用することだ。
これらの目標を達成するには、包装の設計から収集、リサイクルに至るまでのアプローチと共に、さまざまな技術開発や、他企業とのコラボレーションなどへの継続的な投資が必要だと考えられている。
このプロトタイプは、プラスチック製キャップと内側の裏地にプラスチックを使った紙でつくられた。使用するプラスチックは100%再生プラスチックで、使用後は再利用できる。しかし、同社は他の紙と同じようにリサイクルできる紙製ボトルをつくることを目指しており、プラスチックの裏地を使用しないボトル製作を次のステップに定めている。
将来の紙製ボトルは、現在適用されている食品包装と同じ高い安全性と品質基準に準拠する必要があり、開発チームは冷蔵庫での性能や強度、および内部の飲み物の保護の程度などについて試験を行っている。さらに、消費者の紙製ボトルへの反応についての考察や販売時期、場所やリサイクル方法などについても検討を進めていく。
プロジェクトに取り組んでいる、コカ・コーラのEMEA R&D包装イノベーションマネージャーであるスティン・フラッセン氏は、「紙製ボトルは包装業界の可能性を広げ、将来大きな役割を果たすと確信しています。」と述べている。
同社はこれまでも、砂糖からつくる植物性ボトルの開発支援や海洋プラスチックごみを使用したペットボトル、空気中のCO2を使った世界初の炭酸水など、環境負荷削減に向けた取り組みを行ってきた。そして今回、紙製ボトルのプロトタイプを発表したことは、これからの飲料業界の包装方法の指針とわたしたち消費者の意識に大きな影響を与えることになるだろう。
【参照サイト】Here’s our first paper bottle prototype
【参照サイト】Paboco
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※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」の転載記事です。