ドイツに本社を置く、押出機の世界的大手コペリオン社は4月2日、軟包装用多層フィルムの製造過程において廃棄ゼロのサーキュラー化構想を発表した。
プラスチック製の多層フィルムはリサイクルの必要性が叫ばれてきたが、実際には複数の層からなるため困難とされてきた。コペリオン社の発表によると、製造工程で発生する多層フィルム廃棄物は今後100%再加工ができるようになるため、資源として再度製造工程に戻し、完全に循環させることが可能になるという。
コペリオン社は、バルク材料処理、コペリオンK-トロン(振動フィーダ)やシステムの心臓部である 「ZSK Mc18」というツインスクリュー押出機へのフィードからなる、リサイクルのシステムを運用する。
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仕組みは次の通りだ。製造工程で発生した多層フィルム廃棄物は、最初にシュレッダーにかけられ、コペリオンK-トロンで空気輸送・フィードされ、ZSK押出機に投入される。そして資源は共回転式のZSK Mc18二軸押出機で非常に高い強度で均質化され、脱揮される。押出機で均質化した後、このリサイクル原料を多層フィルムの製造工程に戻す。最終的に生成されるリサイクル原料の高いクオリティを担保するためには、押出機の分散と脱揮のパフォーマンスが重要となる。
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コペリオン社エンジニアリングプラスチック&特殊用途ビジネスユニットジェネラルマネージャーのピーター・フォン・ホフマン氏は、次のように話す。「持続可能性はますます重要になってきており、サーキュラーエコノミーは企業にとって、特に多層フィルム製造会社にとって、すべての前提となったと言っても過言ではありません」
プラスチック産業の大手がサーキュラーエコノミーへの移行を逼迫した課題だと認識し、手法を確立していくことが産業全体に与える影響は大きい。サーキュラーエコノミーへの適応は、もはや選択肢ではなく、企業として、産業としての生き残りをかけた生存戦略といえるだろう。
【参照記事】Visionary Multi-Layer Film Recycling Avoids Production Waste