福岡県と三井住友ファイナンス&リース(SMFL)、日本総合研究所(JRI)は11月17日、サーキュラーエコノミーの推進に関する包括連携協定を締結した。自治体と民間企業が、個別の実証実験に留まらずサーキュラーエコノミー全般の社会実装に関して包括的な協定を結ぶのは全国で初めてだ。今後3者は、それぞれの知見やネットワークを活かし、使用済みの電気自動車(EV)バッテリーや太陽光パネル、プラスチックなどの資源循環を加速させる。

今回の協定に基づき、3者はそれぞれの役割を分担して連携する。SMFLは、サーキュラーエコノミー実現に向けた設備投資に対するファイナンスサービスの提供や、再生資源などを活用するためのリース・レンタルサービスを提供する。日本総合研究所は、これまで培ってきた知見を活かし、地域循環の仕組み形成や各種技術の社会実装に向けた実証を支援する。福岡県は、県内企業や団体との連携を促進し、資源の回収・再利用ネットワークの確立や、県民の理解を促すための環境教育・啓発活動を実施する計画だ。

この連携の背景には、EVや再生可能エネルギーの普及に伴い、将来的に懸念される廃棄物の問題がある。EVの動力源であるリチウムイオンバッテリーや、太陽光発電に使用されるパネルは、いずれも寿命があり、今後大量廃棄が見込まれている。特に太陽光パネルは、2012年の固定価格買取制度(FIT)開始以降に導入が急増したため、寿命を迎える2040年頃には年間最大80万トンの廃棄物が発生すると予測されており、最終処分場の逼迫や、パネルに含まれる鉛などの有害物質による環境汚染が社会課題となっている。

福岡県はこれまでも、こうした課題に先駆的に取り組んできた。2024年7月には、官民連携組織「グリーンEVバッテリーネットワーク福岡(GBNet福岡)」を設立し、EVバッテリーの回収からリユース、リサイクル、再製造までを地域内で完結させる「福岡モデル」の構築を進めている。

今回の協定は、SMFLと日本総合研究所がGBNet福岡の構成企業でもあることから、これまでの取り組みをさらに発展させ、対象を太陽光パネルやプラスチックにも広げるものだ。

製品の所有権を事業者が持ち、使用後は回収して再利用やリサイクルにつなげるリース事業は、製品のライフサイクル全体を管理し、廃棄物を削減するサーキュラーエコノミーと本質的に親和性が高い。今回の協定では、SMFLが持つファイナンスやリースの仕組みを活用することで、資源循環の取り組みをビジネスとして社会に実装していくことが期待される。

【プレスリリース】全国初!サーキュラーエコノミー包括連携協定 締結! ~EVバッテリー・太陽光パネル・プラスチック等の資源循環を更に加速!~
【参照情報】2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題
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