スウェーデンに本拠を置く服飾大手H&Mは、英エレン・マッカーサー財団が立ち上げた「Make Fashion Circular」イニシアティブとコラボレーションをした循環型のメンズジーンズコレクション「Jeans Redesign」を発表した。日本でも10月上旬より順次、公式オンラインサイトやH&M渋谷店、新宿店、二子玉川店、名古屋松坂屋店、梅田店の5店舗で限定発売される。

H&Mは、エレン・マッカーサー財団のグローバル・パートナーとして、他企業や世界各国の政府、都市、学術機関、イノベーターや中小規模の事業などと協力し、より迅速な循環型経済への移行を目指している。すべての生産過程を完全な循環型にすることを目標とした同コレクションでは、デニム製品の専門知識を最大限に活用することで、耐久性があり、時代を問わず着ることができ、修繕しやすく、長く履くほど美しい艶の出るデザインを実現した。さらに、H&Mは同財団が提唱する耐久性、素材の健全性、リサイクル可能率、トレーサビリティーの4つの必須条件に沿うだけでなく、その条件を一部で上回る結果を達成している。

同コレクションのデニム生地にはすべて、以下の素材が使用された。

  • オーガニックコットン
  • 35%までのリサイクルコットン(廃棄された使用済み衣料を再利用したもの)
  • 従来のものより水の使用量とエネルギー消費量を大幅に削減した染料

また、H&Mはより安全な化学薬品を選別して、仕上げには環境負荷の少ない薬品のみを使用した。さらに、環境負荷を減らすため従来のメタルプレートは使用せず、製品を循環させられるようにテンセルの糸を使用することで、廃棄後のリサイクルを簡易化させた。

ワークウェア風の同コレクションでは、スリム、ストレート、レギュラーの3種類のジーンズ、ジャケットが2種類、シャツやトートバッグや帽子など全9種類が展開され、色は4色を取り揃えている。自然のシンプルさにインスパイアされた、モダンなメンズジーンズのコレクションとなっており、価格は1,299円から8,499円だ。

H&Mは同コレクションのほかにも、「公正・平等でありながら循環型でクライメットポジティブなファッション産業へと変化を導く」というビジョンのもと、循環型へのさまざまな取り組みを進めている。国内の全店舗で展開している古着回収サービスもその一環で、ブランドや状態を問わず、不要になった衣類一袋を500円相当のクーポンと引き換えるサービスを行っている。この活動により、H&Mは9月末までに日本で約5,441トンの古着を回収した。

「デザイナーは、サステナビリティと循環性をパラメーターとして製品をデザインするべきです。新しい境界線、制限値と呼んでもいいでしょう。このコレクションがよりサステナブルな製品を生み出していくための大きな一歩になることを願っています。」と、H&Mデザイナーであるジョン・ローマン氏は語っている。

耐久性の向上を含め、完全な循環型にすることを目標としたH&Mの新コレクションは、ファストファッションといわれる業界がこれまで歩んできた道を大きく転換する可能性を秘めている。ファッションの循環化は、そのブランドの成否を分けていると言っても過言ではないくらいにまでに急務になっている。

【プレスリリース】H&M AND THE ELLEN MACARTHUR FOUNDATION RETHINK THE DESIGN AND PRODUCTION OF DENIM IN A MOVE TOWARDS CIRCULARITY
【プレスリリース】H&M、エレン・マッカーサー財団とコラボレーションをした、循環型のジーンズコレクション「Jeans Redesign」を発表