東急株式会社は9月30日、環境問題・社会課題双方の解決に貢献する事業の資金調達手段として、同社初となる「サステナビリティボンド」を2020年度内に発行すると発表した。発行総額など明らかにしていないが、調達資金は①新型車両②鉄道関連インフラ整備(ホームドアなど)③南町田グランベリーパーク④サテライトシェアオフィス(NewWork)を主な対象に、開発や整備などに要した支出のリファイナンスとして充当する予定。
同社は、東急グループのスローガンである「美しい時代へ」を普遍的な価値基準とし、創業以来、鉄道事業を基盤とした「まちづくり」を通じて、社会課題解決と事業成長の両立を目指してきた。2018年度からの現中期3か年経営計画では、6つの「サステナブル重要テーマ」を特定して取り組んでおり、また、19年9月に発表した長期経営構想では2050年をめどに「東急ならではの社会価値提供による“世界が憧れる街づくり”」の実現を掲げている。
19年10月には日本で初めて鉄軌道事業を含む企業グループとして「RE100」に加盟、50年までに事業で使用する電力を再生可能エネルギー100%で調達、CO2排出量ゼロを目指している。また、20年9月には金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明。環境に関するさらなる取り組みを推進するとともに、企業の持続的な成長を図っている。
サステナビリティボンドの発行にあたり「当社グループのサステナブル経営を象徴する環境問題・社会課題双方への取り組みについてステークホルダーの認知をさらに高め、資金使途となる事業の訴求を通じてサステナブル経営のさらなる推進につなげる」としている
発行にあたっては、国際資本市場協会(ICMA)が定める「グリーンボンド原則2018」「ソーシャルボンド原則2020」「サステナビリティボンドガイドライン2018」に基づき、「サステナビリティボンド・フレームワーク」を策定。また、本社債の適格性と透明性の確保および投資家への訴求力向上のため、適格性に関する外部評価(セカンドオピニオン)を、世界有数のESG評価機関であるヴィジオアイリス(Vigeo Eiris)から取得している。
交通関連企業では、今年6月に東京地下鉄株式会社(東京メトロ)が初のサステナビリティボンド発行を発表。発行総額100億円で、みずほ証券、SMBC日興証券、大和証券が主幹事として担当、資金は新型車両の導入、駅ホームの安全性向上、太陽光発電システム設置に関連する費用の一部に充当する。
【参照記事】東急株式会社『当社初!「サステナビリティボンド」を発行します』
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「HEDGE GUIDE」の転載記事です。