国立大学法人東北大学と国立大学法人東京大学、株式会社メニコンは、「次世代コンタクトレンズ及びコンタクトレンズの流通・製造に関する基盤技術構築」に関する共同研究を4月に開始する。両大学の研究力とメニコンのコンタクトレンズに関する技術を融合させ、新しいコンタクトレンズ素材の設計と、流通・製造に使用されるプラスチック資材のリサイクルについて、業界を変革させる基盤技術の構築を目指す。

3者の研究拠点となるのは、東北大学青葉山新キャンパスで4月に稼働予定の放射光施設「3GeV高輝度放射光施設(NanoTerasu)」。NanoTerasuの利用により、コンタクトレンズ素材を含む「ポリマー素材」の計測における成果が期待されている。また、これまでの分析による探求だけでなく、量子ビームの相補利用による精細な実態計測を、デジタルトランスフォーメーションを活用した計算科学と融合させ、計測と計算のデジタルツイン構築を進め、精緻な素材設計を目指す。

もう一つの研究課題が、プラスチック資材のリサイクルだ。ソフトコンタクトレンズの流通に使用されるプラスチック容器の年間使用量は約4万トンと試算される。容器に代表されるコンタクトレンズ用プラスチック資材は、医療機器に使用するため厳しいチェックを受け、純度の高い原料を使用している。加えて、環境省が管轄する「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」における研究によると、コンタクトレンズ用プラスチック資材は、製造に伴う熱・光・圧力による品質劣化が極めて小さいリサイクルプラスチックだと確認されている。

BRIDGEを通じて、内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)サーキュラーエコノミー課題との連携を図り、コンタクトレンズ製造・流通過程で使用されるプラスチックを効率的に資源化し、CO2削減への期待値の高い水平リサイクル技術の確立を図る。

同時に、市場に流通するコンタクトレンズ容器のサーキュラーエコノミー活動の普及推進を通じ、社会全体での環境配慮型コンタクトレンズ流通の構築を実現させていく計画だ。

3者による共同研究の契約期間は2024年4月1日から2027年3月31日。

【プレスリリース】東北大学・東京大学・メニコン コンタクトレンズの基盤技術に関する共同研究を開始 新しい素材設計と流通資材のリサイクルで、業界に変革を
【参照記事】研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)
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(※画像の出典:株式会社メニコン)