内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の研究開発プロジェクトの採択機関が、このほど公表された。このうち、環境省所管の独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)からは、第3期より初めて募集された課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」における採択プロジェクト13件が発表された。

サーキュラーエコノミーをめぐる3つの課題テーマで募集

SIPは、政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が、Society5.0の実現に向けて社会的課題の解決や日本経済・産業競争力にとって重要な課題を設定し、基礎研究から社会実装までを見据えて産学官連携による研究開発を推進するためのプログラム。第1期開始の平成26年度(2014年度)から5カ年ごとに募集、今回の第3期までに総額840億円が投じられることになる。

第3期は、持続可能な食のサプライチェーン構築のほか、ポストコロナ時代の学び方・働き方プラットフォームの構築、スマート防災プラットフォームの構築など、今日的な社会課題である14の課題テーマを設定。今回初めてサーキュラーエコノミーに関わるテーマとして「サーキュラーエコノミーシステムの構築」も設けられた。さらに、3つのサブ課題として「A:循環市場の可視化・ビジネス拡大を支えるデジタル化・共通化」「B:資源循環の拡大を促す動静脈・静動脈連携」「C:循環性向上と可視化のためのプラットフォーム整備」が掲げられた。

課題名「サーキュラーエコノミーシステムの構築」の概要説明図(出典:内閣府「SIP第3期各課題の概要」9ページ)

このうち「B:資源循環の拡大を促す動静脈・静動脈連携」では、アミタホールディングスが東レとともに提案した「自治体協力回収プラスチックの分別・供給システムの確立」が採択された。神戸市の協力で設置している資源回収ステーションで、市民の来場者数や分別回収量を増やし、回収・再生から利用までのプロセスを情報化することで、日本版デジタル製品パスポート(DPP)の開発と連携しながら、マテリアルリサイクル率や高品質な再生プラスチックの供給量を向上させるサーキュラーモデルの構築を目指す。将来的には、神戸市の資源回収ステーションで検証・確立したモデルを、他の自治体へ展開していきたいとしている。

このほか、「A:循環市場の可視化・ビジネス拡大を支えるデジタル化・共通化」では、循環市場拡大に資する日本版DPPの研究開発(日本電気)、日本版DPPの要件定義・ルール形成(野村総合研究所)、バイオマス資源利用の自然資本への影響評価手法の開発(国立環境研究所)などが採択された。「C:循環性向上と可視化のためのプラットフォーム整備」では、再生プラスチックの循環性向上のための品質分析データバンク(東北大学)などが採択された。

SIP第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」に採択された各研究開発プロジェクトは、令和9年度末(2027年度末)まで行われる。

【プレスリリース】戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」における研究開発責任者の決定について(独立行政法人環境再生保全機構)
【プレスリリース】アミタHDと東レ、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」に採択-共同でプラスチックのサーキュラーモデルの構築および展開を目指す-
【参考サイト】戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の概要(内閣府)
【参考サイト】戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期(令和5年~)課題一覧