環境省は2月25日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され、第217回通常国会に提出される予定だと発表した。本法律案は、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立を目的とする、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化を進めるものである。

本改正案は、カーボンプライシングとサーキュラーエコノミーの推進に向けた制度基盤の整備を進める狙い。

資源の有効な利用の促進に関する法律の改正では、再生資源の利用義務化が進められる。特定製品に対し、一定規模以上の製造事業者に再生資源利用計画の提出と定期報告が義務付けられる。また、環境配慮設計の認定制度が創設され、解体・分別しやすい設計や長寿命化を促進する仕組みが導入される。

さらに、回収・再資源化が義務付けられている製品について、高い回収目標を掲げた事業者には、廃棄物処理法の特例措置が適用される。また、サーキュラーエコノミーコマースの促進に向け、シェアリング等の事業者類型を新たに位置付け、資源の有効利用に関する基準を設定する方針だ。

GX推進法改正案では、2026年度より二酸化炭素の直接排出量が一定規模以上の事業者に対し、排出量取引制度(ETS: Emissions Trading System)への参加が義務付けられる。政府指針に基づき排出枠が無償で割当てられる一方、翌年度の排出実績の報告義務と等量の排出枠の確保が求められる。また、排出枠の過不足を事業者間で取引できる市場を整備し、価格安定化のため上下限価格が設定される。

加えて、2028年度からは化石燃料賦課金が導入される方針だ。化石燃料の使用に対する経済的インセンティブが変化し、GX(グリーントランスフォーメーション)関連分野への投資促進が期待される。さらに、GX分野に対する財政支援も強化される。脱炭素成長型経済構造移行債の発行収入により、GX分野の物資にかかわる税額控除に伴う一般会計の減収を補填する。

【プレスリリース】「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
【関連記事】環境省、「リユース促進に向けた懇談会」を開催
【関連記事】環境省、資源循環に関する情報開示スキーム・循環性指標の開発事業の開始を発表
【関連記事】環境省、マスバランス方式に関する基本的な考え方を発表