スウェーデン発祥でオランダに本拠を置く家具製造・販売大手のイケアは1月25日、2020年度のサステナビリティレポートを発表した。2020年は世界中が困難な状況に置かれた年であったものの、長期的なサステナビリティ戦略を継続的に実現し、同年の森林管理に関する目標の達成、9,500点以上の製品の循環性に関する評価、およびカーボンフットプリントをさらに削減するためのバリューチェーン全体の改善を実現したことを報告した。
また同日、生物多様性を強化し、気候変動を世界規模で緩和していくことを目的とした2030 Forest Positive Agendaを開始することを発表した。
「この例外的な年において、気候変動への取り組みをより加速し、循環型かつ公平な社会をさらに推し進めようという決意を固めました。私たちは、より循環型製品の開発に取り組んでおり、製造工程における100%再生可能エネルギーの実現に向けて前進しています。2030 Forest Positive Agendaにより、私たちは責任ある森林管理をビジネスの標準とし、既存ビジネスを超えていきます」と、Inter IKEA GroupのChief Sustainability OfficerであるLena Pripp-Kovac氏は述べている。
2020年度のサステナビリティレポートの概要
- 新型コロナウイルス感染拡大による影響を軽減し、イケアバリューチェーン全体における従業員・顧客・サプライヤー・コミュニティの健康と暮らしを守る
- 2020年の森林管理における目標の達成。現在使用している木材の98%以上が、より持続可能な資源(FSC認証またはリサイクル木材)由来であり、イケア製品で使用しているすべての木材は、森林破壊に寄与しない責任を持って管理された森林から供給されている
- イケアのカーボンフットプリントを継続的に削減する(閉店による売上の損失が見込まれる場合も含め)。例えば下記のような取り組みにより、2019年~2020年度の小売の売上1ユーロあたり7%の削減を実施する
- 製造と輸送工程における再生可能エネルギー使用の増加
- 店舗照明や電化製品のエネルギー効率の向上
- 植物由来の食品の導入
- 家具から実用品にいたるまで、9,500点以上の製品の循環性を評価する
- 製品の買い戻しプログラムや、新しい所有権モデルなど、より循環的なサービスのテストを行う
- 一般家庭で、空気をきれいにし、廃棄を最小限に抑え、水を節約し、きれいなエネルギーを生成できるようにする手頃なソリューションを提供する
「2020年度は、多くの人が家で過ごす時間が増え、人と家との関係が変化しました。人々はより健康的でより持続可能な生活を望んでいますが、そこには苦労があることを私たちの研究が示しています。イケアにとって、これは大きな可能性であり、責任にもなります。健康で持続可能な生活を当たり前に送ることが出来るよう、魅力的で手の届きやすい製品とソリューションを多くの人々に低価格で提供したいと考えています」と、Inter IKEA GroupのCEOであるJon Abrahamsson氏は述べている。