スイス・日本間のイノベーションを促進する一般社団法人ジャパンイノベーションパーク(以下、JIP)は12月14日、NTTとNTTコミュニケーションズ、独シーメンスとスイスイノベーションパーク・ビール/ビエンヌ(以下、SIPBB※1)が実施するデータ流通共同実証実験を支援することを発表した。
SIPBBでインダストリー4.0を推進するスイススマートファクトリーは、Lighthouse Project Industry 4.0と呼ばれる、製造エコシステムにおけるさまざまな実証実験を行っている。同実験には、グローバル企業を含む約40社がスイススマートファクトリーのメンバーとして参加している。
NTTソフトウェアイノベーションセンタとNTTコミュニケーションズは、Lighthouse Project Industry 4.0に参画し、データ流通実証実験を2021年1月からJIP支援のもとでシーメンスおよびSIPBBと共同で行う。同実証実験は、低炭素・資源循環型経済への移行を目指した製造プロセス全体におけるCO2排出量の可視化を目的とする。
今後はスイススマートファクトリーの実証実験データをEU域内や日本から安全に参照できる試験環境を構築し、法令や契約に基づき各データの利用権限を適正に制御できる国際的な仕組みの実用性・運用性も検証する予定だ。同検証には、欧州のデータ基盤「GAIA-X(※2)」のコア技術「IDSコネクター(※3)」と、秘匿性の高いデータを安全に流通させる「DATA Trust(データトラスト)」の構想を具現化したNTTコミュニケーションズの「Smart Data Platform(SDPF)」を用いる。
近年のテクノロジーの進化やグローバル化により、企業や組織は内部と国内での研究開発だけではなく、海外の大企業・スタートアップとの提携など世界的なオープンイノベーションの必要性が高まっている。JIPは、今後一層スイス・日本間でのイノベーションを促進し、スイスを中心とした欧州での日本企業の研究開発と実証実験、およびオープンイノベーションを支援する意向だ。
※1:スイス連邦政府の出資を受けた国家プロジェクト「スイスイノベーション(Switzerland Innovation)」を運営するスイスの民間非営利団体
※2:ドイツ政府とフランス政府が2019年10月に発表した、EU規模でのデータ共有や利活用を支援するための分散型データ基盤を構築する構想
※3:データを送受信するクラウドやエッジコンピュータ、デバイスなどに実装し適切に設定することで、法令や契約に基づき各データへのアクセスを制御できる仕組みを持つ、International Data Spaces Associationが提供するソフトウェア。International Data Spaces Associationは、21カ国以上120以上の機関が参画する協会で、企業間の安全なデータ交換のためのオープンなアーキテクチャーの設計やデータ主権を保証する取り組みを行っている
【プレスリリース】NTT、NTTコミュニケーションズ、シーメンス、スイスイノベーションパーク・ビール/ビエンヌが共同で行う低炭素・資源循環型経済への転換を目指した製造プロセス横断でのCO2排出量の可視化等に関するデータ流通の実証実験をジャパンイノベーションパークが支援
【プレスリリース】欧州「GAIA-X」のコア技術「IDSコネクター」と「DATA Trust®」を具現化した「SDPF」を連携させるデータ流通の実証実験を開始
【参照サイト】International Data Spaces Association