電気・電子・半導体商社の株式会社マクニカは6月11日、サーキュラー蓄電ソリューション株式会社とともに家庭用鉛蓄電池システム「soldam(ソルダム)」を開発し、試作品が完成したと発表した。

soldamは、1個1.2kWhの鉛蓄電池を6個組み合わせたシステム。一般的なリチウムイオン蓄電池に比べ約3分の1の価格で、同程度の蓄電容量と耐久年数を実現した。鉛は素材としての安全性が高く、室外に設置して利用できる。

さらに、これまでの蓄電池は材料のリサイクルが困難だったが、鉛は品質をそのままにほぼ100%リサイクルすることが可能なため、環境負荷も低減できるという。寿命で交換が必要となった鉛蓄電池は、適切な処理でリサイクルを行うことで、再生鉛を活用した蓄電池として再利用できる。

また、蓄電池は常に同じ量で充電・放電を行う必要があり、これに偏りが発生すると消耗を早める原因となる。soldamは、マクニカが提供するエネルギー管理システム「Kisense(キーセンス)」を実装。鉛蓄電池が常に均一的に放電・充電を行っている状態を監視でき、適切な時期に蓄電ユニットの交換が可能となった。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー拡大の動きに加え、大規模地震・台風などの自然災害、値上がりし続ける電気代への対策などから、蓄電池への注目が高まっている。

また、2019年以降、電力会社による自家発電電力の固定価格買取(FIT制度)が順次満了する。そのため、いわゆる「卒FIT」を迎えた家庭が、発電したエネルギーを売るのではなく貯めて使う選択をした場合、蓄電池は必須となる。これまでの蓄電池はコストが高く、また安全性の面から設置場所を選ぶ必要があるなどの課題があったが、soldamの活用によりこうした課題も解消されると期待されている。

「各家庭で発電した電力を貯め、無駄なく使い、将来的には売買する。そんな未来のエネルギー活用への道を大きく前進させるソリューション」だと同社はうたう。2024年秋の受注開始を予定している。

【プレスリリース】家庭の太陽光発電のエネルギーを、無駄にしない!マクニカ、鉛を利用した蓄電池システム「soldam」を発表
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(※画像の出典:株式会社マクニカ)