外食大手のマクドナルドは9月9日、廃棄物管理の米テラサイクル社の循環包装容器サービスであるLoopと共同で、ホットドリンク用の再利用可能カップの導入試験を行うことを発表した。
導入試験は2021年に英国のマクドナルドのいくつかの店舗で開始される。容器包装の無駄を減らし、顧客にホットドリンクを再利用可能カップで楽しんでもらうことが目的だ。
再利用可能カップの利用方法は次のとおりだ。まず、再利用可能カップを希望する顧客は、カップに小額のデポジットを支払い、ドリンクを注文する。飲み終わったら、顧客が同試験に参画している英国のマクドナルドの店舗にカップを返却するとデポジットが返金される。返却されたカップはLoopのシステムに従って洗浄され、マクドナルドの店舗で再利用される。
Loopの洗浄システムはエコラボ社(アメリカ・洗浄製品、衛生管理サービス)と協力して科学的に開発され、各カップは使用前にマクドナルドの安全・衛生基準に沿って洗浄される。コロナ禍において、この基準はとても重要なものとなっている。
マクドナルドはこれまで、ドイツのRECUPシステムを含む、世界のカップの循環型アプローチの試験および実用化に継続的に投資してきた。またアメリカにおいてNextGen Cup Challengeとのパートナーシップで、再利用可能ファイバーカップとそのシステムを開発した。今回のLoopとの再利用可能カップの試みは、こういった今までの取り組みに沿うものとなっている。
そのほかにも、マクドナルドは紙コップをリサイクルするためにさまざまな試みを行っている。英国のマクドナルドのほぼ全店舗には、ホットおよびコールドドリンク用の紙コップのリサイクルユニットがある。紙コップは専門のリサイクルセンターに送られ、繊維からプラスチックのライニングが取り除かれて新しい製品にリサイクルされる。マクドナルドは英国の紙コップ連合のメンバーとしてValpak(イギリス・環境サービス)が運営するスキームに投資しており、リサイクル用の紙コップを集めるように多くの廃棄物管理企業に促している。
マクドナルドのグローバルサステナビリティ部門の副社長であるジェニー・マコロック氏は、「私たちは最高の安全基準を維持しながら、ごみを減らして、お客様が楽しめるような選択肢を提供するために、容器包装を再考している。これはイノベーションを起こすにあたっての課題であり、Loopモデルが問題解決に貢献する可能性があると私たちは考えている」と述べている。
テラサイクル社およびLoopの最高経営責任者(CEO)のトム・ザッキー氏は、「マクドナルドとの画期的なパートナーシップにより、Loopは便利で再利用可能な容器包装オプションを外食産業に提供し、その範囲を大幅に拡大できる。このパートナーシップは外食の際に、再利用できるものを消費者が選択できるという可能性を開く」と語っている。
WWF(世界自然保護基金)のプラスチックおよびビジネス部門の責任者であるエリン・シモン氏は、「プラスチック廃棄物の危機を乗り越えるには、バージンプラスチックの需要を減少させるためのデータに裏打ちされた戦略に投資する必要がある。マクドナルドなど食品・飲料業界大手にとって、再利用は削減戦略の一つの要素になる。現在使用しているプラスチックが再利用できることを、社会として認識する必要がある」と述べる。
「外食業界において世界最大級の企業であるマクドナルドには、世界で最も差し迫ったいくつかの社会および環境問題に行動を起こす責任と機会がある。マクドナルドは製品の包装方法を再考し、顧客が望む持続可能な解決方法を提供するための取り組みを続けている。これらの循環型包装容器モデルは、顧客やコミュニティに変革をもたらし、最終的に地球に大きな影響を与える可能性がある」と、マクドナルドはプレスリリースの最後に記している。
マクドナルドがLoopとともに開始する、再利用可能カップの循環システムの導入試験。安全基準を満たしながら廃棄物を抑制するサーキュラーエコノミーに向けた取り組みをマクドナルドが実践することは、今後の外食業界の大きな道しるべとなるだろう。