経済産業省に事務局を置くサーキュラーエコノミーに関する産官学パートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」は5月30日、「CEコマースビジネス推進のためのガイド」を公表した。このガイドは、シェアリングやリユース、リペアといった、製品の価値を最大限に活用するビジネスを「CEコマース」と定義し、その拡大と推進を目的としている。ビジネスモデルの類型化や、国内30社以上の先進的な取組事例を紹介することで、事業者がサーキュラーエコノミー(CE)へ貢献するビジネスに参入・展開するための実践的な手引きとなる。

本ガイドは、CEコマースへの参入を検討している事業者だけでなく、既に取り組んでいる事業者、CEについて学びたい事業者、投融資を検討している金融機関など、幅広い層を対象としている。

ガイドでは、CEコマースをサーキュラーエコノミーに貢献するための3つのアプローチで整理している。これは、従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の中でも、特に製品ライフサイクルの内側のループ(リデュース、リユース)を事業化したものと位置づけられる。

  • 物品の稼働率を高める:シェアリングやレンタル、リースなどを通じて、一つの製品を複数の利用者が活用することで、製品が遊休資産となる時間を減らし、全体としての資源効率を高める。
  • 物品の利用期間を延ばす:二次流通仲介や中古品売買(リユース)などを通じて、一度使用された製品を新たな利用者に供給し、製品が廃棄されるまでの期間を延長する。
  • 物品の寿命を延ばす:リペア(修理)、メンテナンス、リメイク、リマニュファクチュアリング(再製造)などを通じて、製品の機能や価値を回復・向上させ、物理的な寿命そのものを延ばす。

この定義は、企業が自社の事業をサーキュラーエコノミーの文脈でどのように位置づけ、その貢献度を評価するかの明確な指針を示すものだ。

ガイドは本編と別冊「CEコマース 取組事例」の2部構成となっている。本編では、前述の3つの貢献軸に基づき、シェアリング、レンタル、リース、二次流通仲介、中古品売買、リペア・メンテナンス、リメイク・リノベーション、リマニュファクチュアリング・リファービッシュといった具体的なビジネスモデルを解説。それぞれの事業構造、収益モデル、CEへの貢献内容を体系的に整理している。

別冊の事例集では、多様な業界でCEコマースを実践する30社以上の企業の取り組みを具体的に紹介している。掲載されているのは、月額制ファッションレンタルサービスのエアークローゼット、家具・家電のサブスクリプションサービスを展開するクラス、フリマアプリのメルカリ、使用済み複合機のリマニュファクチュアリングを行うキヤノン、リトレッドタイヤを手がけるブリヂストンなど、多岐にわたる。

デジタル技術を活用したプラットフォームビジネスが普及する中で、シェアリングやリユースといったサービスモデルは実現可能性が高まっており、本ガイドがその普及をさらに加速させることが期待される。

【プレスリリース】CEコマースビジネス推進のためのガイドを掲載しました
【参照情報】CEコマースビジネス推進のためのガイド
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