経済産業省は6月27日、「成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けた制度見直しに関する中間とりまとめ案」を公表した。同日の産業構造審議会産業技術環境分科会資源循環経済小委員会で了承されたもので、プラスチックの再生利用を促し、脱炭素化の促進を図る。この中で、事業者に対しプラスチックなどの再生材の利用に関する計画の策定、実績の定期報告の義務化に関する方針が示された。

政府は、総合的な政策パッケージとして「成長志向型の資源自律経済戦略」を進めている。資源循環経済政策の再構築などにより、国際的な資源供給の途絶リスクを可能な限りコントロールし、国内の資源循環システムの自律化・強じん化を図るとともに、国際競争力も備え、持続的かつ着実に成長する経済を目指す。

中間とりまとめ案の内容は、(1)我が国の循環経済を巡る動向、(2)諸外国の循環経済を巡る動向、(3)循環資源経済小委員会での制度見直しにあたっての視点・考え方、(4)「資源生産性」の最大化に向けた施策の4章。

このうち、資源循環経済小委員会は、従来型の線形経済(リニアエコノミー)の問題として、「天然資源強国に富が集中し、資源調達に係る地政学的リスクに直結する。環境価値が適切に評価されなければ、環境・労働規制が緩い第三国に需要が流出し、国富、産業競争力、経済安全保障を損なう恐れがある」と指摘。循環経済(サーキュラーエコノミー)に移行することで、「国内でグリーン素材が供給される環境をつくり、グリーン製品の生産拠点のマザーマーケットとして国内立地を進めていく」と、方向性を示した。

さらに日本の高いリサイクル技術を活かし国際競争力を高めること、そして天然資源小国であるがゆえに再生材利用を伸長させることが重要だと強調。成長戦略として、再生材の市場構築を主体的に進める必要があると提唱した。

そのうえで「資源生産性の最大化」「自律的な循環経済の促進に向けた環境整備」「製品の効率的利用・サーキュラーエコノミー(CE)コマース促進」「製品設計の高度化(エコデザイン等)」の重要性を説いている。

本中間とりまとめ案では、事業者に再生プラスチックの利用計画の策定を義務づけるほか、再生資源を使った商品への認証制度を検討する方針も盛り込まれた。対象は自動車や包装容器などの製造業者を想定し、詳細は今後検討する予定。

【プレスリリース】成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けた制度見直しに関する中間とりまとめ案
【参照記事】再生プラスチック、事業者に利用計画を義務化へ 経産省
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