三菱HCキャピタル株式会社と、EVデータ活用事業を手がける株式会社MobiSaviは6月2日、電気自動車(EV)の普及とサーキュラーエコノミーの実現を目指し、業務提携契約を締結した。両社はこの提携に基づき、EVのライフサイクル全体を通じた価値最大化と、持続可能なEV・バッテリー産業の発展に貢献する。

カーボンニュートラル達成に向け多くの企業がEV導入を進める中、EVの持続可能性を確保するためにはサーキュラーエコノミーが不可欠だ。特にEVバッテリーに使用される希少資源の有効活用や、リユース、リパーパス(製品を別の目的で再利用すること)による環境負荷低減が求められている。

しかし現状では、中古バッテリーの性能評価や保証が十分に確立されておらず、国内の中古EVはその約8割が海外へ流出しているという課題が存在する。三菱HCキャピタルグループは、EV統合型サービスの提供や中古EVバッテリーの利活用などに取り組んでいる。

一方、MobiSaviは独自のEV性能予測技術を活用したEV導入支援サービス「FACTEV」などを提供し、中古EVの性能不安を軽減することで国内流通の活性化を目指している。今回の提携は、EV統合型サービスの機能拡充とEV流通活性化という両社のニーズが一致したことにより実現した。

提携内容は主に3点で構成される。第一に、三菱HCキャピタルが保有する社有車の走行データおよびバッテリーデータを活用し、MobiSaviがバッテリー寿命を高精度に推定・評価する実証実験を実施する。第二に、この適正なバッテリー評価手法に基づき、経済価値を残価として反映した新たなEVリースモデルを構築する。第三に、中古EVから取り外したバッテリーを定置型蓄電池として再利用するなど、バッテリーの活用を広げる新たなビジネススキームを創出する。

三菱HCキャピタルとMobiSaviは、本提携を通じてEV導入支援、適切なバッテリー評価に基づく中古EVの国内流通促進、使用済みバッテリーのリパーパスによる新たなビジネス創出を目指す。将来的には、企業の脱炭素経営支援や再生可能エネルギーとの連携も視野に入れた蓄電インフラの構築を進め、EVのライフサイクル全体における価値最大化とサーキュラーエコノミーの実現に向けて継続的に連携していく方針だ。

【プレスリリース】EV の普及とサーキュラーエコノミーの実現をめざし三菱HCキャピタルと MobiSavi が業務提携契約を締結
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