フィンランドの製油会社ネステは6月、サーキュラーエコノミーに向けての取り組みにおいて、オランダのマクドナルドとロジスティクス事業を手掛けるHAVIと連携することを発表した。オランダのマクドナルド店舗で使用された調理油が、ネステにより再生可能燃料である Neste MY Renewable Diesel™に変換され、HAVIのトラックの燃料として使用される。

ネステは、廃棄物や残留物から精製された再生可能ディーゼル燃料の世界最大の生産者であり、2020年には「世界で最も持続可能な100社」の第3位に選ばれている。

HAVIはフードサービス業界における大手ブランドのサプライチェーンのイノベーション、最適化、マネジメントを手掛けるグローバル企業だ。企業とのパートナーシップに基づき、分析、包装、サプライチェーンのマネジメント、および物流といったサービスを提供し、サプライチェーンの課題解決に対応している。

今回の取り組みでは、HAVIがオランダにある252店舗のマクドナルドからフライドポテトを揚げる際に使用された調理油を回収する。この油はロッテルダムの製油所でネステによって再生可能ディーゼル燃料に変換され、HAVIの輸送用車両の燃料となり、マクドナルドへの物資輸送時に使用される。

Neste MY Renewable Diesel™は、これまでのディーゼルエンジンをそのまま利用可能で、化石ディーゼル燃料と比較すると、ライフサイクル間の温室効果ガス排出量を最大90%減らすことができるという(※EU 再生可能エネルギー指令[2009/28/EC]に基づく試算)。現在、オランダ国内では90箇所、国外ではフィンランド、スウェーデン、エストニア、ラトビア、リトアニア、米国のカリフォルニア州およびオレゴン州で利用可能となっている。

マクドナルドは現在、「Scale for Good」と称するプログラムを通してサステナビリティに力を入れる。循環性の実現や、廃棄物の削減は、現行のサステナビリティプログラムの一つの柱となっているという。オランダのマクドナルドでサプライチェーン部門長を務めるJeroen Dekkers氏は、ネステ、HAVIとの協業が循環性を実現する優れた事例である点に触れ、「我々は、何年間も取り組んできた価値ある廃棄物のリサイクルを、気候への影響を抑えるという狙いに結び付けようとしている」と話す。さらに同社はHAVIと協力し、物流面で二酸化炭素の排出量を減らし、将来的な物流の有効性を高めるために、実行可能な項目からなるロードマップを作成したという。

ネステのRenewable Road Transportation事業の部門長を務めるCarl Nyberg氏は「ネステは再生可能でサーキュラーエコノミーに関するソリューションの分野で国際的な牽引役となることを目指している。サーキュラーエコノミーを実際にどのようにすれば推進できるのかを、オランダのマクドナルド、HAVIとの連携により立証できることをとても楽しみにしている」と語る。

今回の調理油の活用は、シンプルでわかりやすい循環型の取り組みといえる。ネステ、マクドナルド、HAVIによる試みは、企業が循環型の運営をどのように実践していくかを示す優れた例となるだろう。

【参照記事】Neste, McDonald’s Netherlands and HAVI enter into circular economy collaboration in the Netherlands
【参考記事】World’s 100 Most Sustainable Corporations Deliver Better for Investors
【参考記事】CORPORATE Knights
【参考サイト】Scale for Good (McDonald’s Corporation)