エレン・マッカーサー財団は国連環境計画(UNEP)と共同で、ニュープラスチックエコノミーグローバルコミットメントの第2回年次進捗レポートを発表した。

同コミットメントは、2018年10月にエレン・マッカーサー財団とUNEPがプラスチックの循環型モデル構築を目的として立ち上げた。企業や政府など500以上の組織が署名している。今回のレポートでは、企業と政府のこれまでの進捗状況に関する詳細なデータと、プラスチック汚染根絶に向けて取るべく4つの行動が提示された。

進捗状況に関する報告は、以下のとおりだ。

  • 2つの主要分野で大きな進展があった。一つ目は、プラスチック製容器包装におけるリサイクル材の使用で、もう一つはポリスチレン(PS)やポリ塩化ビニル(PVC)容器包装、使い捨てビニール袋やストロー、および微細であることから検出が難しい黒色顔料など、問題があることが広く認識されている原材料の段階的廃止である。
  • プラスチック製容器包装のリサイクル性向上と、使い捨て容器包装の必要性削減は進展が限定的で、署名者間の進捗率にも大きな違いがある。同コミットメントに署名後、1年目に進展が見られることは素晴らしいが、2025年の目標を達成するには取り組みの大幅な加速が必要である。

これらの調査結果に基づいて、プラスチック汚染根絶のために不可欠な4つの行動を企業と政府に呼びかけた。

企業に対して

  • 現在リサイクルできない容器包装の種類について大胆な行動を取る。リサイクルを機能させるための信頼できるロードマップを作成して実行するか、他の素材の革新を行う。
  • 野心的な削減目標を設定する。

政府に対して

  • EPR(拡大生産者責任)などの公正な業界からの貢献を通じて、分別回収のための安定した資金を提供する政策と仕組みを確立する。
  • プラスチックのサーキュラーエコノミービジョンを打ち出し、国連環境総会を通じて世界的な方向性を設定して、国際的な行動の枠組みを構築する。

UNEPの経済局長であるリギア・ノロンハ氏は、「このレポートは、この分野を牽引する政府がいくつかの課題に対して行動を起こしていることを示していますが、EPRや財政インセンティブ、および公共調達政策など、より包括的な政策アプローチの展開が問題解決を加速させるでしょう。私たちは国連環境総会を通じて、すべての政府に、世界レベルで結束しプラスチックのサーキュラーエコノミービジョンを確立して、国際的な行動の枠組みを構築することを求めます」と述べている。

エレン・マッカーサー財団のニュープラスチックエコノミーリードであるサンダー・デフロイト氏は、「このレポートは、いくつかの分野、特に再生プラスチックの使用において、プラスチックのサーキュラーエコノミービジョンに向けた望ましい進展を示しています。しかし今後は、どの容器包装を市場に投入するかについて再考するなど、大きな一歩を踏み出すことも重要です。私たちは業界に対し、使い捨て容器包装を削減し、実際に大規模にリサイクルできる方法を確立していない容器包装を排除するための取り組みを強化するよう求めています。業界だけで変化を起こすことはできないため、私たちは政策立案者に、この移行を加速させるための環境とインセンティブ、および国際的な枠組みを整備するよう呼びかけています」と語っている。

【プレスリリース】Global Commitment 2020 Progress Report published
【参照サイト】Global Commitment