ペプシコはこのほど、サステナビリティ戦略「PepsiCo Positive (pep+)」の気候、包装、農業、水資源に関わる目標を更新した。この中で、容器包装のリユース目標を廃止するとともに、容器包装関連の施策の見直しに伴って脱炭素に関わる目標も変更した。

ペプシコは、2030年までに全飲料販売量の20%を再利用可能なモデルで提供することを目標に新たな再利用モデルの拡大を目指していたが、再利用目標そのものを廃止する。同社は、主要な市場を中心に環境規制などの外部要因を考慮して、原材料の再設計やリサイクル可能な包装を推進するとしている。2023年にはインドがリサイクルPET(ポリエチレンテレフタレート)を飲料包装に使用することを許可する法律を制定したのに対し、中国では未だ食品との接触の安全性仕様を満たす材料にリサイクルPETを認めていないなど、地域ごとの法規制に対応している。

また、2030年までに非再生可能資源に由来するバージン・プラスチックの絶対トン数を20%削減するとした目標も停止した。同社は今後、2030年まで毎年2%ずつバージンプラスチックを削減したいとしている。2025年までに100%リサイクル可能、堆肥化可能、生分解性または再利用可能なものにするとしていた目標も、2030年までに97%と後退。再生材使用比率は、2030年までに50%から2035年までに40%以上とした。

容器包装関連の施策の見直しに伴って、脱炭素に関わる目標も変更した。スコープ1、2、3の総排出量を2015年を基準として2030年までに40%以上削減するという目標を撤回。代わりに 「進化した短期目標 」に焦点を当てるとした。気候変動については、2050年までにネットゼロ目標をたて、SBTi(科学的目標設定イニシアチブ)によって承認されている。

農業については、土壌の健康がより良い収穫を生み、農業の排出削減や生物多様性の向上、農業コミュニティの生活水準向上につなげるため、既に農場で被覆作物や不耕起栽培を導入し、再生可能農業を推進している。2030年までに再生・修復・保護の手法を1000万エーカー(約40469平方キロ。九州の面積は36782平方キロ)に拡大するとしている。

水資源については、すでに水不足リスクの高い流域での水利用効率の25%改善目標と、農業水利用効率15%改善目標を達成した。今後、2030年までに水消費量を供給量が上回るウォーター・ポジティブ達成を目標とする。

また、同社は電気自動車の充電インフラや物流の電動化を視野に入れながら、ペットボトルや包装材の回収・再利用を促進することで、廃棄物問題に対処するとしている。

【参照記事】PepsiCo Refines Sustainability Goals to Position Business for the Long-Term
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