欧州委員会は1月18日、フォン・デア・ライエン委員長が2020年の一般教書演説で発表したNew European Bauhausが設計の段階に入ったと伝えた。

New European Bauhausは、科学技術・芸術・文化・社会的包摂の境界を越え、デザインによって日常の問題を解決していく創造的なイニシアチブである。環境・経済・文化に関するプロジェクトで、デザイン・持続可能性・アクセシビリティ・実現可能性・投資などを結び付けることにより、欧州グリーンディールの実現を支援することを目的としている。

New European Bauhausは持続可能性・美意識・包括性を本質的な価値と位置付けており、設計段階における目標は、緊急の需要と課題を特定しながらアイデアを探索しコンセプトを作ることと、関係者をつなぐこととしている。専用ウェブサイトでは、アーティスト・デザイナー・技術者・科学者・起業家・建築家・学生、そして関心を持つすべての人々が、New European Bauhausによる素晴らしい成果の例、それをどのように形作り、どのように進化させるべきかについてのアイデアや、実現するうえでの懸念事項や課題を共有することができる。この春、欧州委は初のNew European Bauhaus賞の発表を予定している。

設計段階では、国および地域レベルでEUの資金を活用し、加盟国の少なくとも5か所でNew European Bauhausのアイデアを実現するための提案を今秋に募集し始める。その後の普及段階では、プロジェクトや知見の共有を通じて、New European Bauhausを定義する概念を広めていきたい考えだ。

フォン・デア・ライエン委員長は、次のように述べる。「New European Bauhausは、パンデミック後に私たちがより良く生きるための希望のプロジェクトです。欧州グリーンディールを人々の心や家庭に近づけるため、持続可能性とスタイルとを調和させていきます。この試みを成功させるには、デザイナー・アーティスト・科学者・建築家・市民など、関係するすべての人が創造的な精神を持つことが必要です」

また、イノベーション・研究・文化・教育・青少年を担当するマリヤ・ガブリエル委員は「New European Bauhausと共に、持続可能性と美意識を組み合わせ、環境変革を支援・促進・加速する革新的なフレームワークを開発していくことを目指しています。芸術や文化の世界と科学技術の世界をつなぐ架け橋となることで、アーティスト・学生・建築家・技術者・学界・改革者など、社会全体を巻き込むことができます。それは社会全体の変化への第一歩となるでしょう」と期待する。

そして、結束と改革を担当するエリサ・フェレイラ委員は次のようにコメントしている。「New European Bauhausの目的は、私たちがどのように共存していくか、私たちの価値観、仕事と余暇のための共通の空間、私たちがみんなで共有する経験や個人での経験といった広範囲に及びます。これは、ヨーロッパのすべての地域を対象としたプロジェクトであり、実現可能な課題解決を進めるにあたり、社会における結束と住宅問題の解決に貢献することでしょう。より美しく持続可能な生活のため、私たちの周りに実際に変化をもたらしたいのであれば、New European Bauhausが新しいアイデアを生み出し、それを具体的に実現するために、どのように橋渡しできるかを考えなければなりません。私たちは委員会全体で、私たちの持つ資産を活用し、New European Bauhausの最初の行動を具体的に開始する方法を模索しています」

【参照記事】New European Bauhaus: Commission launches design phase (europa.eu)