P&Gジャパン合同会社(以下、P&G)の乳幼児用紙おむつブランド「パンパース」は、「おむつ回収プロジェクト」を4月中旬に開始する。パンパースが独自開発した「おむつ回収ボックス」を兵庫県神戸市内の小売店と保育施設の計8カ所に約6カ月間設置する予定だ。消費者から店舗で使用済みおむつを回収するのは、日本初(P&G調べ)の取り組みになるとしている。

長期的な重点課題として「環境サステナビリティ」をビジョンに掲げるP&Gは、パンパースブランドでも過去25年間、紙おむつの着け心地のよさを追求する一方、欧州・北米のおむつに使用する資材の量を半減させるなど、常にサステナビリティを念頭に置き製品を革新させてきたとしている。同プロジェクトの目的は、将来的な循環型経済の実現に向け、使用済み紙おむつを分別・回収するときに、日本の消費者がどのような習慣・行動・認識の傾向を持つかを理解することであると発表している。

同プロジェクトの概要は、以下のとおりだ。

  • 実施期間:2021年4月中旬~9月30日
  • 回収対象:乳幼児用紙おむつ・大人用紙おむつなど、種類やブランドを問わず全ての紙おむつ。おしりふきシートも一緒に回収できる
  • 回収場所:神戸市内の小売店と保育施設の計8カ所に設置する「おむつ回収ボックス」。「イオン ジェームス山店」「イオン 神戸北店」「トイザらス・ベビーザらス 神戸ハーバーランド店」の3店舗と、「夢の森」「花の森」「あさひ保育園」「おっこう山」「山のまち」の5施設
  • 参加方法:パンパースのおむつ回収専用アプリ「パンパースエコ」をダウンロードし、スマホの位置情報機能を利用してアプリ内で最寄りの回収ボックスの場所を確認する。回収ボックスにスマホをかざしてアプリの開錠ボタンを押すと、投入口が自動で開き、使用済み紙おむつを投入したあと、自動で投入口が閉まる(同アプリで収集するデータは消費者が「おむつ回収プロジェクト」に参加し、参加中に可能な限り最適なサービスを提供する以外の目的には使用しないとしている)
  • 参加特典:回収後、アプリからの応募で初回応募のみパンパースすくすくギフトポイントを1,000ポイント獲得でき、2回目以降は1回につき100ポイント獲得できる。ポイントはクーポン・商品券・育児製品などと交換できる(交換できる製品など、パンパースすくすくギフトポイントプログラムの詳細はこちら

左:アプリ画面、右:回収~応募手順(出典:P&Gジャパン合同会社)

おむつ回収ボックスの特長について、P&Gは次のように発表した。

  • スマホアプリと連動し、使いやすさと効率化を追求:Bluetooth機能搭載により、利用者のスマホを使って自動開閉できる。回収ボックスの残り容量を測るセンサーが内蔵されており、満杯になると通知され、効率よく回収できる
  • おむつ回収ボックス内部に衛生・ニオイ対策:内部に設置された装置により、おむつが投入されると、消臭効果のある液体スプレーが散布され、虫・ニオイ漏れを防止する
  • ソーラーパネルによる電源を搭載した省エネ設計

左:大サイズ(1100L)幅160cm/奥行き120cm/高さ190cm、右:小サイズ(360L)幅80cm/奥行き106cm/高さ167cm(出典:P&Gジャパン合同会社)

パンパースは、欧州で初めて使用済み紙おむつのリサイクル技術に取り組んだブランドであるとP&Gは発表している。2019年に蘭アムステルダムで開始したおむつ回収の取り組みには600世帯以上が参加し、開始以来40トン以上のおむつ(おむつ20万枚以上に相当)を回収したとしている。アムステルダムでの回収実証事業は、バイオ産業(BBI)プロジェクト「EMBRACED」を通じてEUにより承認され、資金提供の承認を受けて補助金を得ており、2019年10月にはAIM(欧州ブランド連合)から Nudging for Goods賞を受賞した。P&Gは、消費者に関心を呼び起こす方法についてアムステルダムで得た知見を活かし、今回日本でのプロジェクト実施に至ったことを発表した。

おむつ回収ボックスはスマホアプリを活用して誰でも簡単に利用できる仕組みであるとP&Gは考えており、消費者と共に取り組めるプロジェクトを目指していく意向だ。

P&Gと環境サステナビリティについて

日用消費財メーカーの世界大手P&Gは、一つひとつの製品が環境に与える影響は小さくても、事業規模と比例して同社の環境保全への責任は大きく、果たし得る貢献も大きいと考える。資源を大切に使い、環境負荷を最小限にする重点課題として、2018年に長期ビジョン「Ambition 2030」を策定し、「製品ブランド」「サプライチェーン」「社会」「社員」の分野での取り組みを進めているとしている。

【プレスリリース】パンパースが、日本で初めて店舗で参加できる回収テストを実施!“おむつ回収プロジェクト”をスタート 独自回収ボックス「おむつ回収ボックス」を開発し、4月中旬より神戸市内の小売店、保育施設計8拠点に設置
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*冒頭の画像は、おむつ回収ボックスのイメージ(出典:P&Gジャパン合同会社)