住友化学株式会社と米国のルーマス・テクノロジー社(ルーマス社)は、アクリル樹脂(PMMA)を対象としたケミカルリサイクル技術「PMMA-CR」の商用ライセンス提供を開始した。両社は2024年5月に協業契約を締結し、住友化学の愛媛工場に設置された実証設備での検証を通じて、商業化に向けた共同評価を重ねてきた。今回、必要な技術要件を満たすことを確認し、グローバル市場への本格的なライセンス供与に踏み切る。
PMMA-CR技術は、使用済みのアクリル樹脂を熱分解することで、原料であるMMA(メチルメタクリレート)モノマーに再生する高度なケミカルリサイクル技術。MMAはアクリル板や自動車部品、建築材料、家電製品などに広く使われる透明性・耐候性に優れた樹脂素材の主原料であり、その循環は多くの産業分野において環境負荷低減に直結する。
住友化学と日本製鋼所が共同開発した熱分解プロセスを基盤としており、再生されたMMAは化石資源由来の製品と同等の品質を持つ。また、従来品と比較して製品ライフサイクル全体の温室効果ガス(GHG)排出量を最大約50%削減できる見込みで、環境負荷の大幅な低減と資源循環の両立を実現する。
本技術は、使用済みPMMAを高収率・高純度でモノマー(原料)に戻すリサイクルプロセスと、均一な温度制御と熱効率に優れた熱分解システムを特徴としている。また、連続運転が可能なセルフクリーニング機能付き二軸混練押出機を採用し、設備の高稼働率と操作性を実現。さらに、プロセス機器はモジュール化されたパッケージとして提供され、導入の柔軟性や将来的なライン増設にも対応可能となっている。
再生されたMMAは、自動車・建築・電子材料分野などでの再利用が可能で、真のクローズドループリサイクルの実現を目指す。両社は今後、ルーマス社のグローバルネットワークを活用し、世界各地の顧客に技術ライセンスを展開していく方針だ。
【参照記事】ルーマス社と住友化学、PMMAケミカルリサイクル技術の商業スケールでのライセンス提供を開始
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