令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が6月7日、閣議決定された。3つの白書は国会に提出する年次報告書であるが、環境問題の全体像を明示するために平成21年版から合冊されている。

「グリーン社会の実現に向けて変える私たちの地域とライフスタイル~私たちの変革から起こす脱炭素ドミノ~」が、令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書のテーマだ。特に、2030年までの10年間を「勝負の10年」と考え、「脱炭素」「資源循環」「自然共生」が同時に実現される新たな経済社会の構築を目指すとしている。

令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の重点項目は、次のとおり。

  • 気候変動や資源の大量消費、生物多様性の喪失などの危機に対する世界における取り組み・動向を紹介
  • 「脱炭素」「循環経済」「分散・自然共生」という3つの切り口による日本のアプローチを解説
  • 脱炭素を核とした地域循環共生圏の実現と国民一人一人の生活様式変革により、新たな循環共生型社会を目指すことを記述
  • 東日本大震災・原発事故からの復興に向けた取り組みを紹介

3つの白書の目次は、下記のとおり。

令和3年度 環境の状況
令和3年度 循環型社会の形成の状況
令和3年度 生物の多様性の状況

第1部 総合的な施策等に関する報告

はじめに
第1章 1.5℃に向けて
第2章 脱炭素、循環経済、分散・自然共生という多角的な切り口によるアプローチ
第3章 私たちが変える持続可能な地域とライフスタイル
第4章 東日本大震災・原発事故からの復興・再生に向けた取組

第2部 各分野の施策等に関する報告

第1章 地球環境の保全
第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組
第3章 循環型社会の形成
第4章 水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境、大気環境の保全に関する取組
第5章 包括的な化学物質対策に関する取組
第6章 各種施策の基盤となる施策及び国際的取組に係る施策

令和4年度 環境の保全に関する施策
令和4年度 循環型社会の形成に関する施策
令和4年度 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策

第1章 地球環境の保全
第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組
第3章 循環型社会の形成
第4章 水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境、大気環境の保全に関する取組
第5章 包括的な化学物質対策に関する取組
第6章 各種施策の基盤となる施策及び国際的取組に係る施策

循環型経済と環境・生物多様性保全には、関係性があることをさまざまなレポートが明らかにしている。代表的なレポートは、以下である。循環型経済は、廃棄物だけでなく温室効果ガス排出量の削減に貢献するとエレン・マッカーサー財団は報告した。Sitra(フィンランド・イノベーション基金)は、「食料・農業」「森林」「建築・建設」「繊維・生地」の4部門が循環型経済へと迅速に移行すれば、世界でほかの行動がとられないと仮定しても生物多様性喪失を止め、2035年までに2000年レベルに回復させられると発表している。

日本の経済社会の変革を目指して作成された同白書などを参考に、国民・企業・地方自治体・国が共同で環境負荷削減と資源循環の促進、生物多様性保全に取り組むとともに、その相乗効果が生まれていくことが期待される。

 

【参照サイト】令和4年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について