UKリサーチ・イノベーション(UKRI※)はこのほど、英国における循環型経済を推進する拠点となるNational Interdisciplinary Circular Economy Hub(CE-Hub)の創設を発表した。より少ないリソースで、より多くの原材料を再利用および回収するソリューションの提供を目指す。

CE-Hubはエクセター大学の管轄下にあり、350万ポンドのUKRI投資を受けている。最近発表された5つのセンターと協業し、繊維・建設・化学・金属などの幅広い産業で廃棄物を再利用することによって環境への大きなメリットをもたらし、英国経済の後押しを図っていく。

CE-Hubは、センターと他研究機関との間での知見の共有を促進し、より広範囲な研究とイノベーションを連携させていく。CE-Hubと5つのセンターは、英国を循環型経済へと推し進めるための3,000万ポンドのUKRIプログラムの一部を形成する。

科学担当大臣の Amanda Solloway氏は次のように述べる。「廃棄物を削減し、製品や原材料を再利用する循環型経済の構築は、ビジネスを成長させつつ、同時に環境を浄化するのに有効です。CE-Hubには非常に優秀な研究者たちが集結し、建設から繊維まで、産業と直接協力して廃棄物を再利用していきます。そして、環境に優しくなるほど経済が成長する社会を目指します」

また、工学・物理科学研究評議会(EPSRC)の会長であるDame Lynn Gladden教授は、「CE-Hubは、循環型経済を実現する英国全体の研究を統合する上で重要な役割を果たします。循環型経済への移行は、資源利用および再利用の方法を段階的に変更することにより、環境と経済に大きなメリットをもたらし、ネットゼロの実現につながります」とその貢献に期待する。

CE-Hubをリードする、エクセター大学ビジネススクールのFiona Charnley教授とPeter Hopkinson教授は、それぞれ次のようにコメントしている。

Fiona Charnley教授:

「CE-Hubとその幅広いプログラムは、英国をこの成長分野における思想的リーダーと位置付け、学際的な循環型経済の研究を全国規模で統合かつ加速する、ユニークでタイムリーな機会を提供します。国として資源の使い方を根本的に変える必要があり、学界・企業・政府の専門知識を結集し活かしていくことで、その変革が実現します」

Peter Hopkinson教授:

「資源の活用方法を根本から再設計する必要があります。例えば、プラスチック経済は過去50年間で進化してきましたが、今後より良いシステムを構築するのにそれほど長くは待てません。そして、すべての利害関係者が同じ方向に向かっていなければそれは実現できないのです」

CE-Hubが開発する英国初の循環型経済の国営観測所は、提供されるデータの質を向上させ、循環型経済に向かう英国のロードマップをエビデンスのある確かなものにする。そして、調査や知識を保管する場所となり、また新しい研究・政策・産業界に情報提供をするツールとして機能する。さらに、幅広い分野にわたる協業を促進し、循環型経済を実現する英国全体におけるコミュニティを強化していくとしている。

※)UKRIはビジネス・エネルギー・産業戦略省が後援する、2018年に発足した研究イノベーションを行う政府外公共機関である。

【参照記事】Hub to provide national circular economy leadership – UKRI
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