株式会社大林組は10月23日、フランス・パリに本社を置くUpcyclea社が開発した資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea(マイアップサイクリア)」を活用し、建設資材の環境性能や建設解体資材のリユース可能性を可視化する取り組みを開始したことを発表した。myUpcycleaの導入は、日本企業では同社が初めてだという。
大林組は建設資材の循環利用のため、リノベーションや耐震改修を通じて既存の構造材を活用してきたという。しかし、内装材や設備機器のリユースには、仕様や寸法の違い、施工生産性の低下といった課題があり、廃棄やリサイクルに回されることが多かった。これらの背景を踏まえ、myUpcycleaの導入により、資材の循環利用の加速を目指す。
myUpcycleaは、世界で300社以上の利用実績を持つUpcyclea社による資源循環データプラットフォーム。環境性能情報(デジタル製品パスポート)に基づいて建設資材のCO2排出量や水使用量、循環性や安全性を比較し、リユースによる環境負荷の削減効果を可視化する。また、建設資材のトレーサビリティや品質状況など、建物のライフサイクルマネジメントを数値データとして記録。
さらにAI機能を活用し、リユース可能な建設資材に関して、解体現場の供給情報と新築工事現場の需要情報をマッチングする機能も備えている。これにより、新築現場関係者への建設資材循環利用の促進が期待される。
大林組は「Obayashi Sustainability Vision 2050」に掲げている。今後の展望として、2024年9月から2025年3月にかけて、myUpcycleaを活用した各種機能の実証実験を行い、その結果をもとに適用現場数を増やしていく計画。低炭素でサステナブルな建物を提供し、顧客のポートフォリオの脱炭素化に取り組むとともに、ESG報告に向けたデータ整理にも寄与することを目指す。
【プレスリリース】仏 資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea」を活用し、建設資材の循環利用推進に向けた取り組みを開始
【関連記事】大林組とトヨタ自動車、炭素繊維強化プラごみをコンクリート材に再生利用する技術を開発
【関連記事】建築・建設業における金融機関が推進すべき循環型ソリューションとは?〜UNEP FIレポートより③
【関連記事】独ハイデルベルク市、デジタル建設資材台帳の作成実証を開始
(※画像の出典:株式会社大林組)