神奈川県川崎市はこのほど、脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定した。令和元年東日本台風(台風第19号)で多大な被害を受けた川崎市は同戦略によって、2050年の脱炭素社会実現に向けて気候変動問題が差し迫った課題であることを市民および事業者と認識を共有し、地球温暖化対策の取り組みを加速・実践していく。

同戦略は、川崎市が2010年に策定し、2018年に改定した「川崎市地球温暖化対策推進基本計画(以下、基本計画)」をもとに作成された。基本計画では以下の5項目を基本方針として、2030年までに30%(1990年比)のCO2削減を目指すことが定められた。

  • 温室効果ガス排出量の削減を進める
  • 再生可能エネルギーなどの導入とエネルギーの最適利用を進める
  • 気候変動への適応を進める
  • 環境技術・環境産業に貢献する
  • 市民・事業者・行政の連携・協働を進める

これらを踏まえて、川崎市が基本計画の取り組みを加速するべく今回策定した同戦略の基本方針と特徴は、次のとおりである。

基本方針

  • 2050年を見据えて、基本的な考え方や2030年マイルストーン、および先導的に進める取り組みなどを示す
  • 同戦略で提示する取り組みだけでなく、野心的挑戦を積極的に展開していく

特徴

  • 2030年マイルストーン(中間目標地点)の設定

    基本計画に基づく目標に加え、100万トンのCO2削減に挑戦する。100万トンのCO2は同市の全世帯数の93%に当たる約69万世帯の年間電力消費量に相当する

  • 脱炭素モデル地区(脱炭素アクションみぞのくち)の設置

    脱炭素都市のショーケースとなるモデル地区を創設し、CO2削減や適応策、資源循環や生態系保全など、脱炭素化をはじめとする先進的な取り組みを集中的に実施する。市民に身近な取り組みに参加してもらい、脱炭素化の取り組みの効果や利便性を実感してもらうことで、環境配慮型のライフスタイルへの行動を促す

  • 2030年までに主要な市公共施設の使用電力を再生可能エネルギー100%に

    公共施設の再エネ導入と省エネの徹底、および職員の意識改革を目指す。廃棄物発電などの再エネの地域活用や再エネ電力の調達により、市庁舎や区役所などの主要施設の使用電力を再エネ100%にする。また、施設の省エネ化の徹底により市役所のエネルギー使用量を2030年までに10%削減する

  • 脱炭素化に取り組む企業への新たな支援・評価手法の構築

    企業のCO2削減の取り組みを評価する新たな手法と、脱炭素化に取り組む企業にインセンティブが働くような支援方法について調査および検討を行う

10月16日現在、304の事業者および団体などが同戦略に賛同しており、今後、川崎市は市民と事業者および行政が一丸となって2050年の脱炭素社会の実現を目指していく意向だ。

【参照サイト】脱炭素戦略「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」策定
【参照サイト】川崎市地球温暖化対策推進基本計画(2018年度から)