西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)は5月23日、ジェイアール西日本商事株式会社、オカモト株式会社、平林金属株式会社との4社協働により、駅や列車における忘れ物傘をリサイクルし、再び傘として生まれ変わらせる「傘to傘」の取り組みを開始した。

JR西日本の近畿エリアでは、駅や列車における傘の忘れ物が1ヶ月に約9,000本にも及び、そのうち廃棄せざるをえない傘は主に産業廃棄物として処理されていた。この課題に対応するため、今回の取り組みでは、廃棄される忘れ物傘の中からビニール傘(月に約4,000本から5,000本)を対象にリサイクルを行う。

具体的なリサイクルの流れとして、まず収集したビニール傘を金属部分とシート部分に分別する。その後、シート部分をペレット(粒状の樹脂原料)へと加工し、このペレットから再生シートを生成、最終的に新たなビニール傘として製品化する。

この一連のプロセスにより、ビニール傘のシート部分が効率的に再資源化され、リサイクル率は重量比で約90%に達する見込みだ。これにより、産業廃棄物の削減と資源の有効利用が実現される。また、生成されたペレットは傘だけでなく、ネームホルダーやクリアファイル、小物ケースといった他の製品への活用も可能だ。

JR西日本は、このリサイクルによって作られた傘を、株式会社JR西日本ヴィアインが運営するJR西日本ヴィアインホテルズの貸し出し傘として導入する予定。今後は、リサイクル傘の活用先をさらに広げるとともに、ペレットを利用した傘以外の製品開発も検討していく方針であり、鉄道事業を起点としたサーキュラーエコノミーの推進に貢献していく。

【プレスリリース】忘れ物傘の「傘to傘」リサイクルの取り組みについて
【関連記事】JR東日本、資源循環事業「UPCYCLING CIRCULAR」を発表
【関連記事】JR東日本グループが「電力リサイクルループ」を開始。食品廃棄物から生み出された再生可能エネルギーを施設利用
【関連記事】JR東日本、リサイクルステーションを設置。駅・列車ごみの再資源化促進を目指す