環境省は、中央環境審議会循環型社会部会の第60回会合を6月10日に開催する。この部会では、日本のサーキュラーエコノミー政策の根幹をなす「第五次循環型社会形成推進基本計画」の評価・点検の進め方について議論が行われる予定だ。
この第五次基本計画の具体的な推進と関連して、2月25日に開催された第59回循環型社会部会では、多岐にわたる重要な議論が行われた。主要議題の一つは「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の策定等」であり、食品リサイクル法に基づく基本方針の見直しが中心となった。この中で、事業系食品ロスの新たな削減目標として2030年度までに2000年度比で60%削減(従来は同50%削減で2022年度に前倒し達成)が設定された。
さらに、食品関連事業者に対し、未利用食品のフードバンク等への提供努力、賞味期限表示の年月表示などへの工夫、賞味期限の延長努力、納品期限の緩和といった具体的な取り組みが促されることとなった。再生利用実施率については、食品小売業の目標が65%(従来60%)に引き上げられ、食品製造業は95%、食品卸売業は75%、外食産業は50%を維持しつつ、取り組みの一層の促進が求められた。
また、第59回部会では「循環経済への移行加速化パッケージ」の策定も報告された。これは、第五次循環型社会形成推進基本計画に基づき、政策をより具体化したもので、地域の循環資源を生かした豊かな暮らしと地域の実現、国内外一体の高度な資源循環ネットワークの構築、資源循環に対する企業の取組開示の検討という三つの柱で構成される。このパッケージは、環境制約や資源制約が高まる中、日本の素材・製品産業の国際競争力を維持・強化し、廃棄物の資源化を新たな成長に繋げる経済社会システムへの転換を目指すものだ。
その他、繊維分野では「循環型繊維・ファッションに関するG7アジェンダ」の策定内容や、国内における家庭から手放される衣料品のうち廃棄されるものを2030年度までに2020年度比で25%削減するという目標などが報告された。最終処分場の排水基準見直しや、小型家電リサイクル制度の見直しに関する小委員会の開催予定も共有された。
第60回部会は、6月10日の14時から16時まで、中央合同庁舎5号館の共用第6会議室とWEB会議システム(Teams使用)を併用したハイブリッド方式で実施される。会議の模様は環境省環境再生・資源循環局の公式YouTubeチャンネルにてライブ配信され、一般の視聴も可能だ。会議資料は、開催までに環境省のウェブサイトにて公開される予定だ。
【プレスリリース】中央環境審議会循環型社会部会(第60回)の開催について
【参照記事】中央環境審議会循環型社会部会(第59回)議事次第・配付資料
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