持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)は1月21日、「Circular Transition Indicator(サーキュラー移行指数)」フレームワークおよび自己採点用の無料オンラインツールを公開した。

このCTIフレームワークはWBCSDと26の加盟企業が共同で2年がかりで開発したもので、合計約183兆円もの年商を上げる13の国の13の業界の事業者たちが自らのために作り上げた。それぞれの会社が現在自社で実践中の持続可能性に向けた取り組みと合わせて使うことで相乗効果が期待でき、バリューチェーンや立地条件、業界問わずすべての企業が利用できる。

このフレームワークはアムステルダムに本拠を置くCircular IQとのパートナーシップに基づき開発された完全オンラインのソフトウェアで、自社の領域・優先順位に応じて自己採点でき、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた取り組みを自社内で進めることができる。

CTIにより企業はサーキュラリティを一貫性のある数値で測定できるようになるため、自社内の意思決定と社外のサプライチェーン上の主要なステークホルダーとのコミュニケーションにおいて共通する認識、指標を使用できるようになる。

オランダの総合化学工業Royal DSMのCEOでWBCSDのサーキュラーメトリックスを担当するFeike Sijbesma氏は次のように語る。「サーキュラーエコノミーへの移行にはバリューチェーン、業界、産業を超えたコラボレーションが求められます。サーキュラー化に向け前進するためには、それぞれが共通認識を持つ必要があります。CTIは、その会社の現状やサーキュラーなビジネスの手法を取り入れるためのインサイトを提供してくれるので、その会社がサーキュラーなビジネスチャンスを掴み、現在そして未来のリニア・リスクに対応することを可能にするのです」

サーキュラーエコノミーへの移行をどの程度進められているかを業界や規模を問わず共通の指標で測ることができるようになれば、企業が自社の現状把握やベンチマーク、サプライヤーとの情報共有に活用するだけではなく、サーキュラーエコノミー投資の判断指標としても活用も可能になり、投資家からのより多くの資金流入につなげることもできる。今後、CTIの活用が広がることを期待したい。

【参照記事】First self-assessment framework to measure business’ circular performance